No.166 音声認識よし
「あぁそうだな!奈留!一緒にあの馬鹿を助け出そう!」
「はい!」
頼もしい後輩を名前で呼んだ。
ルビーはそんな奈留の背中に手を当て、想いを託す。
「奈留!スマートフォンを弾倉に装着しろ!お前のそれがマガジンになる!」
「は、はい!」
奈留は言われるままーー狙いを絶対に逸らさず、スマホをライフルの空いていた弾倉部にガシャっと装着した。
「よしっ!もう一度言うが、お前のスマホ容量が弾薬になる!容量に関しては今度詳しく話す!今は気にせず、私の言う通り声に出せ!音声認証で操作する!」
ここからはルビーの端的な説明で、奈留はその通りに復唱したーー
「『SET』」
弾倉に装着されたスマートフォンがピピッと電子音を鳴らして起動する。
「『RELOADーー通常弾SELECT』」
スマホ画面に弾数表示が点灯。
セレクトされた弾薬が表記された。
次に奈留は狙い通りに、スマートフォンに攻撃指令を言葉にした。
「『BURSTSHOT』」
ライフルの銃口と、奈留の右手が緑の光を放ち、そのまま息を殺して引き金を引いた。
ズガンッ!!
空気を切り裂くような銃声が鳴り響く。
※
ラジコン飛行機に四方八方囲まれ、俺は絶体絶命の状況の中ーー
突如それらを同時操作していた、早坂林太朗の右腕に風穴が空いた。
ダンッ!!!
正確すぎる命中精度と、的確なタイミングの援護射撃。
俺はニヤリと笑みを浮かべ、大門の懐目掛けて駆け出した。
「よくやった……奈留!」
電気グローブを強く握り締める。