No.164 奇跡が舞い降りる
「嫌っ!今度は私がヒーローさんを助けたい!!私もヒーローさんの”味方”なんだから!!」
刹那ーー
誰も予想だにしていなかった奇跡が舞い降りる。
青空学園屋上ーー露草奈留の胸が緑色の光を突如放つ。
まるで想いが形になったように、暖かな光が奈留の身体を包んでいた。
隣で見ていたルビーは、すぐにそれが例の現象だと気が付き、疑いながらも奈留に急いで事の説明をした。
「まさか……!露草奈留!スマートフォンを出せ!」
「す、スマホですか!?この光は一体……!?」
「いいから早く!!」
この間にも、青空タワーで戦う俺は絶体絶命の窮地だった。
爆弾搭載のラジコン飛行機が、四方八方俺を取り囲んでいる。
俺や愛菜の時同様ーー奈留のスマートフォンが覚醒する。
「露草奈留!新しいアプリがスマホに出たな!?それを押せ!」
「えっ!は、はい!」
奈留は戸惑いながらも、アプリと言う単語に身に覚えがあった。
それは今日俺達と共に動き、その異次元の力ーーアプリを間近で見てきた。
奈留にとって身に覚えのないアプリだろうが、俺たちがやって見せてきたピンチを逆転出来る力だと信じている。
奈留は自身のスマートフォンを開き、新しく出現していたアイコンを迷うこと無くタップしたーー
『アプリケーションーー”コンポジットカスタムライフル”』
出現したのは、長身の重量感のあるロングライフル。
小柄な少女である奈留の腕に抱かれるように現れ、とてもスマートフォンから出現したとは思えないその存在感は逸脱していた。
「な、なんかものすっごいの出ましたよ!?」
おそらく奈留の全身と同等か、それ以上の大きさはあった。
しかしすぐに気がついたのは、巨体ライフルを抱いているというのに、全くといっていいほど重さを感じなかったのだ。