No.162 復讐と殺意
「なっ!これだけのラジコンをまだ!?」
俺はすぐに『マグネティックパルス』で全機不能にしようとしたーー
けれどもう一人の敵ーー大門がそれを阻む。
「よそ見してる暇あんのかアァ!?」
俺に急接近し、『マグネティックパルス』の隙を一切与えないラッシュを打ち込んで来た。
爆弾搭載のラジコン飛行機が迫るというのに、この男はそれを一切怖がることの無い激しい攻め。
「お前死ぬ気か!?このままだとお前まで!」
「どの道俺に居場所はねぇ!だったら最期はこの命!てめぇをぶっ殺すために使ってやるって言ってんだ!黒マントぉ!!」
復讐という殺意が、全身に伝わってくる。
前回よりその気迫は凄まじい。
俺は大門の攻撃を捌きながら、反撃の一手を狙っていた。
「一度距離をとって、一気にアプリでケリつけてやる!」
スマートフォン片手に、後ろに大きく飛び引いた。
しかしーー
ラジコン飛行機が、四方から俺目掛けて急接近。
ーーくそっ!!
俺はそれらを回避するため、大きくバク転して身を逃がす。
ラジコン飛行機は互いに衝突し合い、俺の目前で爆発する。
なんとか間一髪で回避し、ホッとした所で通信が入る。
«ヒーローさん!後ろです!!»
こちらを離れた所から超視力で見ていた、奈留からの警告。
爆発に紛れて動いていた大門が、俺の背後に回っていた。
ーーしまっ!
俺の反応が遅れ、大門の蹴りが腹部を直撃する。
「今日こそしめえだ黒マント!」
「がっ!!」
2対1……いや、複数四方からの攻撃をしてくる相手に、たった一人の俺は為す術もない状況だった。
※
同時刻。
青空学園屋上。
遠く離れたこの地で、俺の戦いを超視力で見ていた奈留は、自身の無力さに絶望していた。
「あっ!ヒーローさんが……!」