No.16 女のコードナンバー
「誘拐されたな」
振り返るとそこには、足元をふらつかせる先程の女の姿があった。
俺は警戒しながら、それでも女の台詞に耳を傾けるしかなかった。
「誘拐!?誰に!?一体なんで小香を!?小香は何処だ!?」
女はスマホを操作し、その後俺に画面を覗かせた。
「犯人は恐らくジャパニーズマフィアの連中だ。組織名は『藤田組』。この組が音羽兄妹の持つ”シークレットコード”を狙っているという情報を掴んでいた」
ーーまただ!俺達兄妹が持つ”シークレットコード”って何だ!?
それにジャパニーズマフィアだって!?なんでそんなヤツらに……!?
手掛かりは全く無い。
ーーこの女の言うことを信じた訳では無いが、小香の姿が見えないのは事実。
「妹を……小香を助けたい!」
「言われなくても私達が助け出す」
「妹はどこだ!?俺を連れて行け!今すぐ!」
「何を言っている!?お前は保護する!音羽小香は私が何とかする!そもそもお前みたいな、一般人の高校生にーー」
「俺だってアプリ仕えるぞ!いいから連れて行け!絶対小香を救い出す!俺は妹を救出する!あいつの兄ちゃんはーー俺だけだ!!」
女ははぁとため息を吐きこぼし、スマホの先端を俺の方に向けた。
何をするのかと脇を閉めて警戒するが、直後俺のスマホがピロリンと音を鳴らす。
メールだ。
首を傾げながら、不審げにそれを開く。
中にはファイルが添付されてあった。
「このファイルは……?」
「私はコードナンバー『ルビー』。組織ーー『Jewelry』の一人だ」
「ルビー?Jewelry?」
ルビーと名乗った女は淡々と話す。
「言っておくがこれは機密情報だ。もはやお前の人権は、我々の組織の管轄下に置かれることとなる」
「妹を救えるなら何だっていい……!」