No.153 今朝の出来事
「爆弾魔に俺たちの居場所教えてたの……お前だよな?」
「わ、私がですか!?そ、そんな訳……あるわけないじゃないですか……わ、私は……」
奈留の台詞に震えが混じっている。
けれど確信していた俺とルビーは、この件をハッキリさせるべく、奈留に問い詰めていく。
「奈留……お前は今朝バスで音羽柚木と会ったらしいな。音羽柚木に聞いたよ」
音羽柚木は俺だが、あくまで聞いたというテイで話を進めていく。
「そ、それがどうかしたんですか……!?」
「その後お前は、音羽柚木達と同じバス停に降りて、同じ駅で同じ改札に向かったらしいけど……一体その後何処に何をしに行くつもりだっだ?」
「えっ……!?えっと……それは……!」
ーーやはり、すぐには答えられない。
俺の後ろにいたルビーが、壁にもたれかかりながら吐き捨てるように言った。
「お前は『シークレットコード』である音羽柚木を追いかけなければならなかった……だから背中についていくだけで、その後の事は何も考えていなかった……違うか?」
「わ、私は……ちょっとお散歩に行こうとしただけですから……」
奈留は震えながら下を向く。
「わざわざバスや電車に乗ってか?」
ルビーが顎を上げて言った所で、奈留は思い出したように焦って言い返した。
「そ、そうですよ……!私は、ただの被害者です!立体駐車場で、ヒーローさんと一緒にラジコン飛行機に襲われたの忘れました!?」
自分も被害者だーー
そう言い切る奈留だったが、ルビーはため息を吐いて呟いた。
「……どうしてあの場所が敵にバレたんだろうな?」
「えっ!?そんなの分かりませんよ!あなた達の中に”内通者”でもいたんじゃないですか!?」
奈留が口にした”内通者”というワード。
しかしそれは、俺達が奈留に向けていた容疑。
俺はしっかりとそれを否定する。
「いや、それはないよ奈留」