No.150 楽しい物見せてよねっ!
「お前どうしてここまで……!いや、そんな事より、さっきどうやってラジコン飛行機を……!?」
俺達が背を向いていたこともそうだが、この少女は、あまりに速い何かを飛ばしてラジコンを撃墜させた。
俺は何が起こったのか全く視認出来て行かなったーー
奈留が戸惑う俺に、そっと耳打ちするように小声で言った。
「……ヒーローさん。さっき、小さいナイフのような物に見えました……」
「奈留……!?そっか”超視力”!確か愛菜が言ってたな……!奈留はめちゃくちゃ目がいいんだっけ……!?」
愛菜が駅で言っていたーー
露草奈留は視力がよく、常人では見えない距離だろうが視認できる。
おそらくこういった動体視力も、常人離れの能力を持っているのだろう。
俺たちの耳打ち話をはぐらかすように、目の前の黄色髪少女は、両手を振って俺に言う。
「まぁまぁ深く考えないで。命が助かったんだから、難しい事なんてどうでもいいじゃん?それよりねぇ、助けてあげたんだから今度こそ私をーー」
少女がそこまで言ったところでーー
プルルルルル……!
少女のポケットに入っていた、スマートフォンが鳴り響く。
すると少女は何処か落ち込んだようにため息を吐き、俺たちに構うことなくスマートフォンを開いた。
しばらく画面の上で指を踊らせた後、再びポケットにしまう。
「ーーあぁ……ごめん!私急用が出来ちゃった!きらぺろっ!」
舌をペロッと出してウインクポーズ。
「は?きらぺろ?何それ?ってか元から関わらせるつもりないから!用事でも何でもいいから、早くどっか行っちまえ!」
俺は少し強気にあしらったが、少女はニッと笑って手を振った。
「また会おうね黒マントさん!今度会った時は、私にたくさん楽しい物見せてよねっ!」
嵐のように騒がしく現れ、颯爽とこの場から去っていった。
俺は頭を掻きながら、ボソッとため息混じりで呟いた。
「楽しい物なんかここにはねぇよ……ほんと、あんな女の子が安心して過ごせるように、とっとと爆弾魔の野郎をぶちのめさないとな……!」