No.15 妹の悲鳴
「やれるもんならやってみな!」
両者殺気のこもった激しい睨み合い。
相手の呼吸や、僅かな動きを刮目する。
それは相手も同じ事。
一瞬の油断がーー命取りとなる。
そんな時だった。
ギャシャーン!!!
ガラスが砕けて割れる音とーー
「キャー!お兄ちゃんー!」
下の階から、突如妹ーー音羽小香の、悲鳴のような叫びが聴こえてきた。
「小香!?おい小香!!どうした!?」
俺は目の前の女の事が、一瞬で頭の中から抜け落ち、我を忘れて駆け出した。
なんだ今の小香の声は!?
小香に何が!?小香!!
目の前の女は、俺に再度威嚇するがーー
「と、止まれ!さもなければーー」
銃を俺の顔に向けるが、俺はそれを上回る速さで接近していた。
「どぉけぇー!!」
女の懐に素早く飛び込みーー
ピストルを勢いよく蹴り飛ばす。
「は、速い!やはりこの少年はーー」
俺の追撃は終わらない。
アプリケーション”エレクトリックショック”の右手を、女の目前に近づけーー
バリッと雷鳴混じりのクラップ(指パッチン)を鳴らした。
刹那。
女の意識がすっと落ち、俺はその横を駆け抜けた。
「悪いがあんたに構ってる場合じゃない!」
俺は声のあった下の階へ駆け下りた。
「小香ー!どうしたー!?」
階段を飛ぶように駆け下りる。
「小香……!?」
居間に辿り着くと、そこには窓ガラスの破片、そして荒らされた朝食が散乱していた。
「小香!小香!」
そして肝心のーー小香の姿がどこにも無かった。