No,149 飛来したプロペラ音
「奈留……!?」
爆弾魔に追われているんだーー
怖いのも無理はないーー
俺はこれまでの罪悪感に押し潰されそうになっていた。
次の瞬間ーー聞き覚えのあるプロペラ音が近付いてきた。
俺たちに襲い掛かる、爆弾搭載のラジコン飛行機。
外から立体駐車場目掛けてそれは飛来した。
「まさか!どうしてここが!?」
ものすごい早さでこちらに接近。
俺たちに迷っている暇はなく、そして逃げる時間もなかった。
ーー俺のアプリで空を飛ぶこのラジコンを落とす手段はない……!”マグネティックパルス”の装備換装も間に合わない……!
もうすぐ目の前まで迫っているーー
ーーくそっ!奈留だけでもなんとしても守ってやる!
俺は身を呈して奈留を守ろうとした。
突如その瞬間、奈留ではない別の少女の声が飛び交った。
「二人とも動かないでね!」
刹那。
ヒュンと風を切るように謎の高速物体が、俺達の横を通り過ぎる。
そして飛んでいるラジコン飛行機に激突し、見事これを撃墜させた。
ラジコン飛行機が空中爆発。
辺りに爆発の衝撃が響いたが、俺たちの所まで空気が振動した程度で、ダメージを受けることは避けられた。
「だ、誰が……!?」
急いで少女の声の方へ振り返る。
そこには見覚えのある少女が、”キャップ”のつばを上げ、ニシシと笑って立っていた。
「花火デートかな?確かに男女のデートでは鉄板だけど、ちょっと時と場所を考えた方がいいよ?リア充さーん」
黄色髪のポニーテールで、キャップを被るボーイッシュ服の陽気美少女。
先程出会ったばかりで、俺達をリア充だかバカップルだかおちょくって来た少女。
「お前どうしてここまで……!いや、そんな事より、さっきどうやってラジコン飛行機を……!?」