No.146 ポニーテール美少女のウザ絡み!?(挿絵あり)
キャップを深く被り、ボーイッシュなイメージを思わせるショートパンツに、キャップを被るポニーテール姿の少女ーー
ボーイッシュな雰囲気の服装だったが、やはり、整った小顔と高い声、それと細く小柄な体型から、かなりの美少女と言えた。
「危ないな君ー!ちゃんと前見て歩かないと!彼女連れて何をそんなに急いでるの!?もしかして発情してるの!?今からどこか人気のない所に連れ込んで、如何わしい事でもするつもりだね!?」
「いきなり何なんだお前は!?」
俺は掴んでいた奈留の手を、急に恥ずかしく思った。
ーーそもそも彼女じゃないし……!
けれど先程必ず奈留を守ると誓ったから。
俺は何を言われようとも、奈留のこの手を離すつもりはなかった。
ぎゅっと手を更に握り、その反応に奈留は少し表情を赤らめながら俯いた。
「ひ、ヒーローさん……!?」
「……行くぞ奈留!」
手を連れたまま、この場を立ち去ろうと振り返る。
それを目前で見ていた黄色髪の少女は、目を細めて指を指す。
「あーイチャコラしに行くんだ。バカップルだなー。リア充だなー」
全て否定していたらキリがない。
それに直感だが、この女は何処かルビーに似たやばさを感じる。
関わらないのが吉。
ーーこれ以上あんなマジキチ女が増えてたまるか。
「とっとと行くぞ奈留!こんなの無視だ無視!」
動き出そうとしたその時、耳につけていた通信機にノイズが入る。
噂をすれば影がさす。
ルビーからの通信だった。
«おい何してる!?まさかトラブルか!?»
こんな所で時間を使っている場合じゃない。
ルビー達に余計な不安を伝えれば、それが作戦の邪魔になる可能性もある。
「……大丈夫だ気にするな」
ボソッと呟くように、小声で通信を返した。
しかし当然目の前の少女は、今の不振な動きが気になった。
「ん?誰かと通話してるの?もしかしてもう一人の彼女?」
「何でもないから!ってかもう一人のって何だ!?」
気にせず立ち去ろうとした所で、更に少女は俺に絡む。
俺と奈留の袖を掴んで、上目遣いで潤んだ視線を向けて言った。
「あの私、怪しい男に追われてるの……!」