No.142 囮作戦
「二手に別れるって言うのはどうだ?」
俺は咄嗟に思いついた案を口にした。
ルビーは先ず、否定よりも俺に真意を問う。
「その心は?」
「敵が何処の誰か分からない以上、それを探る必要がある。そうだよな?しかし逃げながらではなく、客観的に現場を探る必要がある」
「なるほど……つまり、囮作戦か?」
「敵の狙いが俺たちの中の誰か……もしくは全滅だ。俺たちが分散すれば、敵の動きが分かるかもしれない」
「敵を動かす誘い作戦という点では賛成する。しかしもし、敵が複数犯だったらどうする?私達が分散した事で、それが災いとなる場合だって十分ある」
「仮に敵が複数人いたとしても、さっきから爆弾やらラジコンやらで、引きこもり陰キャみたいな卑怯で、姑息な手しか使ってこない奴だ。それよりこれ以上被害を出さない為に、早く敵を誘き出すことが先決じゃないか?敵が釣られて出てきてくれるなら願ったり叶ったりだ」
俺とルビーの談義を聞いていたアメシストが、運転席に乗り込んで窓を開けて言った。
「私が車を高速で走らせるです!皆さん乗り込んでくださいです!」
アメシストがエンジンを蒸し、皆が車に乗り込んで行く。
俺の前で奈留が乗り込もうとした所で、ルビーが俺達を車の外に突き飛ばした。
「痛っ!」
「ちょ!?ルビー!?何すんだ!?」
倒れる奈留を抱き抱え、ルビーに戸惑いの表情で言った。
するとルビーは満面の笑みで俺に言い返したーー
ーー目の前にいた美少女は、悪魔の笑みそのものだった。
「囮は頼んだぞスーパーヒーロー」
「おいふざけんな!いや、囮はいいがーー奈留は連れて行け!こいつはか弱い一般人だ!」
俺が奈留を庇う台詞を吐いたが、ひょいと助手席から顔を出したエメラルドが笑顔で言った。
「分かってないなぁビースト君。この車は爆速で都会の街を駆け抜けるんだよ?」
「だから何だよ!?」
【 お知らせ⠀】
新作短編を同時制作中です*॰ॱ✍
そのため1日2話連載していた『オーディナル~昼は女子高生、夜はヒミツのエージェント』を、以前の夜20時の1話づつ連載に戻ります!
これからもどうか応援、ご愛読よろしくお願いします✨
みなさまに笑顔と楽しみを届けるよう、これからも頑張ります