No.141 何故ここが敵にバレたのか
「また来ました!ラジコン飛行機です!」
愛菜が飛来するラジコン飛行機に気づいて声を上げる。
真っ直ぐこちらに目掛けて落ちてくる。
「くそっ!こんな所まで!」
俺達は身構えて迎撃態勢に入る中、Jewelryの3人は首を傾げていた。
「おかしい……!アメシストのアプリーー”インビジブル”で完全に姿を消して振り切ったはずだ……!なのに何故……!」
確かにルビーの言う通り、透明化して逃げた俺達を、どうやって敵が追いかけて来たのかは分からない。
しかしそんな事を考えるのは、この現状を打開してからにしたい。
「とりあえず考えるのは後だ!メイジー!迎撃よろしく!」
「はいヒーロー様!撃ち落とします!」
愛菜は機敏に動いてこれに対応ーー
スマートフォンから2つ目のアプリケーションをタップする。
『アプリケーションーー”フレアボール”』
右手に轟々と燃える炎が集まり、小さな太陽のような火の玉が作り出される。
テニスボールを投げる要領で、”フレアボール”をラジコン飛行機目掛けて投げ付けた。
「当たって!」
螺旋を描きながら、空を駆け抜けるーー
ラジコン飛行機を叩き付け、空中で花火のように爆散した。
「よし!よくやってくれたメイジー!」
俺は愛菜の活躍に称賛の言葉を送る。
しかし安心出来る状況ではないーー
ルビーが腕を組んで考え込む。
「……一体どういう訳か知らないが、この場所がバレている!」
「だったら早く逃げないと!」
「待てビースト!逃げるのはいいが、敵が何故私達の居場所を追跡出来たのかーーそれが分からない以上、私達に安全な場所などないぞ!」
確かにルビーの言う通りだった。
流石はエージェントの先輩と言ったところか、俺より遥かに冷静だった。
ーーしかし落ち着いて考え込む時間も俺達には無い。
「二手に別れるって言うのはどうだ?」