No.138 4番スロット起動
アメシストのアプリケーションは、殆どがドライブサポートのアプリで、数字スロットを音声によって発動させる。
発射した小型ミサイルが、ラジコン飛行機の直前で破裂した。
そして破裂したミサイルの中から、微粒子レベルの電磁波が放射ーー
飛んでいたラジコン飛行機が、電磁波によってコントロールを失いーー俺たちのバンを通り過ぎて墜落した。
後ろの方で墜落爆破したラジコン飛行機。
俺たちはそれを見て改めて、アメシストの運転技術を心から信用する事になった。
「す、すげぇ……!」
呆気にとられた。
文句の一つも出てこない。当然だ。
更にアメシストは、アプリケーションを起動させる。
「ドライブアプリ起動。4番スロット」
4番スロットーーアプリケーション起動。
『アプリケーションーー”フライトユニット”』
ダッシュボードが、今度はロケットジェットのようなアイコンへと変化する。
それを見た他Jewelryの2人だけ、各自シートベルトをぎゅっと握る。
まるでーージェットコースターの降下直前のようである。
一気に嫌な予感が押し寄せる。
「……おいお前等。まさかーー」
俺の予感はお構い無しに、アメシストがシフトレバーをぐっと下げた。
また次の瞬間ーー車体がフワッと宙に浮かび上がり、俺たちは唐突な浮遊感に見舞われた。
「あっ!?なななな!?飛んだ!?」
俺達を乗せる黒のバンが浮かび上がり、急角度の上昇体勢で空を飛んだ。
まるでジェットコースターのような感覚だった。
窓から見える地面が遠のいていく景色と、上昇していく車体の感覚。
車が飛び上がるというこの異常な光景。
その時、隣に座っていた少女ーー露草奈留が、慌てて俺の身体を抱き締めた。
「ひやぁっ!?と、飛んでる!?無理です無理ですっ!何なんですかこれぇ!」