No.135 巨乳メイドの凄テクニック
「お前達急げ!」
「あ、ああ!」
俺たち全員もルビーの後に続く。
最後になった愛菜がドアを閉めるときには、既にルビーの合図で動き出していた。
「アメシスト!いいぞ出せ!」
「と、飛ばしますですっ!」
そこからのアメシストの手捌きは、まるで別人のように素早かった。
メイド衣装からは全く想像出来ない、ハイテクニックの運転が始まった。
ガッ!ガッ!ガッ!
ハンドルとギアの、素早く手慣れた手際ーー
両足による、アクセルとクラッチの激しい踏み動作ーー
エンジンの回転をあげた瞬間、踏み込んでいたクラッチを素早く上げる。
車の動くタイミングに合わせてクラッチを繋げ、そして同時に振り切ったアクセルも調節。
そして素早く、素人離れのギアチェンジにも関わらず、シフトアップによるショックがとてもスムーズに緩和されての発進だった。
「……ほえーー」
プロレーサーを思わせるアメシストの出際に、後部座席から覗いていた俺が、思わず阿呆な声を出した。
「……とりあえず、凄いってことだけは分かる」
ーー語彙力無くて申し訳ないが、俺は運転免許を取得できる年齢では無いのだ。
アメシストの技術で、急発進した黒いバン。
落下していたドローン爆弾を加速で潜り抜け、引き離すようにアクセルを蒸す。
ギアを次々にシフトアップさせ、さらに脇道へ逃げるようにハンドルを切る。
アメシストの運転技術のおかげか、爆速で移動しているはずがそれほど大きな揺れを感じない。
「なんなんだこのメイド……!本当にJewelryのメンバーだったんだな……!」
これには流石に、驚きを通り越して圧巻だった。
そんな驚いていた俺たちに、助手席から顔を出した、糸目の笑顔の男が顔を出す。
「やぁ君たち。元気かな?」
まるで他人事のように笑っていたーーエメラルドがそこに座っていた。
こちらの苦労はお構い無しの表情で、今がどんな状況か理解しているとは思えない笑みだった。