No.131 シークレットコードと共にいた少女
必死に口実を考えていた所で、奈留が焦るように口にした。
「そ、それじゃあ私もこの辺で!ちょっと行く所がありますのでーー」
奈留の台詞を遮るように、ルビーがキッパリ言い返した。
「ダメだ」
「ど、どうしてですか!?私は普通の一般人です!ただの高校生です!」
戸惑う奈留を見ていた友人ーー愛菜は当然それを庇う。
「そうですよルビーさん!奈留ちゃんはこの件の被害者です!早くお家に帰してあげないと!」
「確かにこの眼鏡っ子JKは被害者だ。ただし、普通の被害者じゃない」
「……露草奈留です」
眼鏡っ子JKと呼ばれたせいか、奈留はぷくっと頬を膨らませてしかめっ面を浮かべる。
奈留には悪いが、今はルビーにその真意を問うのが先だ。
「普通の被害者じゃないってどういう意味だよルビー?」
「いいかビースト?この眼鏡っ子は、被害者である前にーーお前達オーディナルの関係者だ。もっと分かりやすく言うと、音羽柚木と行動を共にしていた人物だ」
音羽柚木である俺ーーもっと言うと、『シークレットコード』と共にいた少女。
「……犯人は『シークレットコード』を狙って、この駅を爆破したと……?」
「その可能性が高いだろうな。勿論テロという線も大いにあるが、お前達がここに来たタイミングでこの悲劇は起こったんだ。偶然で事を片付けるのは安直すぎる」
確かにルビーの言う、敵の狙いが『シークレットコード』である俺だとするなら、関わりを持ってしまった露草奈留に今後危険が及ぶ。
愛菜と違って、奈留はアプリを持たない一般人だ。
「……そうだな。奈留は俺たちが身柄を拘束する。メイジーは奈留のそばにいてあげてくれ」
「分かりましたヒーロー様!」
元気よくメイジーこと愛菜が返事をする。
奈留は下を俯きながら、どこか思い詰めたような表情でボソッと呟いた。
「そんな……!こんな事になるなんて……!私……!」