No.13 選ばれし者
「君の妹ーー音羽小香と言ったか?小香ちゃんがどうなってもいいのか?」
「なっ!?小香がなんだよ!?何するつもりだよ!?」
小香……!
あいつに何かあれば……俺は!
俺の中の闘志がーー激しく燃える。
「やはり妹のこととなれば無視も出来ないか。情報通りのシスコンだな」
「……おい、お前が何者か知らねぇが、俺の妹に指一本触れたらどうなるか……!」
怒りがーー想いが激しく”燃えたぎる”。
女は俺を強引に振り払い、距離を取って部屋の向こうへ跳び引いた。
「君がどうするって?」
跳んだ瞬間に、俺からスマートフォンを奪っていた。
先程同様、例のアプリケーションを起動する。
「アプリケーションーー”ナノハンドガン”」
出現させたピストルの銃口を、真っ直ぐ俺に向ける。
けれど俺は臆することなくーー
激しく燃える怒りが、一気に爆発した。
「俺の妹に手を出すな!!あいつはたった一人の家族なんだ!!」
刹那ーー
俺のスマートフォンが突如激しく燃え、漆黒の炎に包まれた。
「これは!?」
何が何だか分からなかったが、赤髪の女は目が点になって驚いていた。
「嘘だろ……!?アップデート無しでスマホを覚醒させた!?やはり音羽柚木は……”選ばれし者”か!!」
「はぁ!?おい!待て!!嘘だろ!?何だよ!?俺のスマホがぁー!!バックアップも何もしてないのにー!!」
燃えるスマホを何とかしようと、急いで手に触れる。
しかし驚く事に、その炎は全く熱くなく、俺は手でサッと払い除けた。
刹那。
偶然俺は”それ”を起動させてしまったーー
『アプリケーションーー』
右手が突如、眩い光に包まれた。
「手がっ!?これってーー」