No.128 仲間だから
同時刻。
駅のホームで依然として、ふらふらと立ち竦む俺。
肩を貸す愛菜は、俺の顔色の悪さを心配する。
「ヒーロー様!大丈夫ですか!?」
大丈夫だと言いたいが、それは強がりの域を出ない。
先ほど胸部に受けた夏代からのダメージが、かなり苦しく効いていた。
俺の表情を見てルビーは、呆れ混じりの表情で俺に近寄った。
「やれやれだな。見栄張って無理するからだ」
ルビーはそう言って、俺のもう片側を受け持った。
両側を美少女2人に囲まれて、かなり照れ臭さがあったが、まずはそんなルビーに言い返す。
「なっ、代わりに体張って戦った仲間に言う台詞かよ!ほんっと可愛げ無いよなお前!」
いつもならここで、ルビーは怒って言い返してくる所だったがーー
ルビーはどこか、寂しそうな暗い表情を浮かべていた。
「……うるさいよ」
「……ルビー?」
「仲間だって思えるなら、お前を心配して待ってるこっちの気持ちも考えられる様になってから言ってくれ……」
おそらくルビーと同じ気持ちだった愛菜は、同じように考えていた。
「ルビーさん……」
「目の前でビースト……お前が傷ついていたら、私はやはり迷わず飛び込んで行くんだよこれからも。”仲間”だからな私達は。悪いけど、私はお前の真剣勝負とやらなんかより、お前の命の方がよっぽど大事なんだよ」
それを聞いた愛菜の方も、何度も俺の顔を見て頷いていた。
何度も何度も。うんうんと。
「私もですよヒーロー様。貴方がもしそれでいなくなってしまわれたら……私は一生後悔しますから」
「ルビー……愛菜……!」
俺は今日一日で、人生最大の敗北を味わいーー人生最大の反省をした。
その時駅の向こう側から、走って顔を出した少女ーー露草奈留の姿を見た。
奈留もすぐこちらに気づき、血相を変えて、足場の悪い瓦礫の上をかき分けるように駆け寄って来た。
「大丈夫ですかー!?」