No.120 最高にカッコイイタイミング
赤髪愛菜ーーコードナンバー・メイジーの二つ名を持ち、『オーディナル』の戦闘員。
「『オーディナル』とーーヒーロー様は、私が守ります!どうですか?最高にカッコイイタイミングでしょ?」
愛菜は笑顔でそう言って、バーンブレードの火力を上げ、青い轟々とした鋭い炎へと変える。
威嚇するように、鋭い炎を見せつけるように前に出して構えた。
「こ、これ以上近づいたら、焼き斬りますよ!」
ヤクザ相手に少しびくつきながら、それでも俺たちを守るため、覚悟を持って言い切った。
相変わらずの強気な行動力だと恐れ入るが、素直にこの救援は有難い。
俺は愛菜の頭を左手でそっと撫で、嬉しそうに赤面する反応を見てニコッと笑う。
「ありがとうメイジー。俺も戦うから。俺たちは一緒だよ」
「ひゃ、はいぃ……」
愛菜は随分間の抜けた返答をした。
後ろ側にいた夏代を、俺は睨み付けながら右拳を握り締める。
「あんたらと俺たち、これで3対3だ。今度こそあんたに雷落としてやる……!」
俺も、言われた夏代もーー
お互い血の気が多く好戦的な性格なのか、目をギラギラと光らせて睨み合う。
ーーこいつはなんとしても倒す……!
先ほど受けた敗北の屈辱が、やはり俺には許せなかった。
そんな時、遠くのある音を聞き付けたルビーが、肩の力を抜くように言った。
「いや、戦う必要は無さそうだ」
小さな駆け足の音が、駅の改札口の方から聞こえてきた。
そしてすぐに、綺麗な高い少女の声が聞こえて来た。
「あ、愛ちゃんー!ど、どこですかー!?警察と消防が救援に来ましたー!」
この声は先ほどまで一緒にいた、露草奈留の声で間違いない。
大声に慣れていないのか、がんばって高い声で叫んでいる。
元々声が小さい方の少女で、それに空気が砂埃で濁ったこの現場。
奈留はかなりすぐ近くまで、愛菜を追って来ていた。
「奈留ちゃん……!救援が来た!?」