No.117 白属性のアプリケーション
やはり大門等と同様、こいつらは小香を狙って動いている。
なんとしてもここで止めないとーー
ルビーはひたすらに、秋雨目掛けて”ナノハンドガン”を乱射した。
「ここは通さない!」
ズガン!ズガン!ズガン!
連射した3発の銃弾が、秋雨を襲うーー直前の瞬間。
回り込むように動いていた少女ーースノウ・シャーロットリリーが、秋雨の前に飛び出した。
タブレット端末を抱え、慣れた手つきで素早くアイコンをタップする。
「下がって秋雨」
タップした瞬間ーー白い魔法陣がスノウの目の前に浮かび上がる。
『アプリケーションーー”クリスタルウォール”』
雪結晶模様の防御盾。
スノウの目の前に展開され、ルビーの攻撃を全て弾き防ぐ。
その後更に数発撃ち込んでもーー
雪の盾は超えられない。
「くそっ!流石の”白属性”のアプリだな!全属性の中で、最も防御力の高い属性って言われてるだけのことはある……!」
ーー以前ルビーが夜の特訓の際、俺に教えてくれた。
アプリケーションは主にーー
『無・赤・黄・緑・青・紫・白』の7色の属性に分類される。
その中でもスノウの操る白属性は、ーー全属性の中で最高峰の防御力を誇る。
これに留まらず、スノウの防御力は更に上がるーー
スノウはタブレットに翳す手に念を込め、言葉を吐き出した。
それに比例して、”クリスタルウォール”の力が増大する。
増大されたアプリは、更に特別な効果が追加されるーー
「銃……それは人を殺める凶の力。凍てつきなさい」
次の瞬間、雪結晶模様が青白い光を放ちーー
ルビーのアプリーー”ナノハンドガン”が凍り付いた。
「なっ!?私の銃が!」
『魔法系アプリ』ーー主に魔方陣や魔法石を呼び出し、力の発動で超常的な能力を発動させる。
それに系統するスノウのアプリが、想いに応えて強くなる。
「私のアプリは、殺意を凍らせて無力化するの……この力を使えば、またお父様は私を褒めてくれるから」
殺意は他のヤクザ男2人の方にあると言いたいが、もはや俺たちに言い返す余裕は無い。
ルビーは急いで凍り付いた銃を、アプリを閉じて消し去った。
そんな全てを無力化させられた絶望的状況の中、倒された俺は決死の思いで立ち上がる。