No.113 子供扱い
「フハッ!おいおいえらく可愛らしい銃じゃねぇか!けどまぁーー」
すーっと高笑いが鎮まり、豹変した様にギロッとこちらを、眼光炯炯と睨みつけた。
「誰にチャカ向けてんのか、分かってんのかテメェ!」
俺たちはその表情に圧倒された。
けれどルビーは意思を強く持ち直し、銃口を男に睨み返す。
刹那ーー
更に別の男の声がーールビーの真後ろから囁かれた。
「秋雨さんが恐いから、こんな可愛い子が怯えてますよ」
俺たちはすぐさま振り返って、思わず後ろへ跳び退いた。
気配が全く感じられず、俺たち2人の意表を同時に突いた。
跳び退いた今でさえ、まだ背中に走った悪寒が残っている。
「何なんだこいつら……!?大門って奴等とは、雰囲気が全然ーー」
俺がそこまで言ったところで、目の前の長身な男が、ニヤリと笑って言い返す。
「おいおい。あんな雑魚と一緒にするな。あいつが100人いても、俺たちの敵じゃねぇよ。そうですよね秋雨さん」
「まぁ、今から死ぬコイツらには関係ねぇ話だろ夏代ォ」
敵意剥き出しの、秋雨と夏代と呼び合った2人の男。
挟まれた俺とルビーは、お互い背中を重ねて敵と向かい合う。
俺は夏代と呼ばれた男を前に、アプリケーションを使用する。
『アプリケーションーー”エレクトリックショック”』
バチバチと電流が、出現させた右グローブの周りを走る。
けれどそれを見ても、夏代は一切動揺すること無く笑っていた。
「それだな?大門が言ってた電気グローブって奴は。スタンガン……より全然強そうだ。おぉ、怖い怖い……へへっ、ガキの玩具にしては上等じゃねぇか」
台詞とは裏腹に、格下に見下した言い草。
ふざけやがって……!
こちらを完全に子供扱いだ。
俺は負けるつもりは毛頭ない。
他の組員は倒せたんだ。この男だって……!