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オーディナル~昼は女子高生、夜はヒミツのエージェント  作者: Froncs
2章:爆弾魔逃亡作戦編
110/275

No.110 『可哀想』で終わるなよ


「でかしたぞビースト。それはおそらく、TNTとRDXによる混合爆薬で作られたIEDだ」



 よく分からないアルファベットをペラペラと喋るが、当然俺は一切意味が分からなかった。



「は?何?ちゃんと分かるように言え」



「つまり、これは即席爆発装置ーー爆弾だよ。これは間違いなく、爆破テロ事件だ」



 ルビーは見つけた金属片とプラスチック片から、今回の騒動を”事件”であると断定。


 言い切ったルビーは、すぐにスマートフォンで辺りをカメラ撮影し始めた。


 壊れ荒れ果てた壁や天井。

 歩き回ってそれらを、様々な角度から何枚も撮影。



「……何やってんだ?」



 俺は思わず問いかける。


 

「決まってるだろ。事件現場を撮って、手掛かり探す為の証拠として画像を残してる」



「……俺、事件や事故をよく撮影してる”野次馬”とか見るとさ、『恥を知れ』って思うんだよな。あくまで外野から見てるだけだから、あれらは気楽にカメラパシャパシャ撮れるわけで……事に巻き込まれた側の人間の事なんか、考えやしないんだ」



 辺りの惨状を目の当たりにしたら、誰だってそう思う。


 人は中々、目の当たりにしない限り気がつかないことは多いがーー



 たくさんの人が傷ついてーー命が散った。

 救えなかった多くの命を想うと、悔しさで酷い吐き気が襲って来る。



「お前は立派だよ。他人の気持ちになれるなんて、簡単そうに見えて難しいんだ。なにせ、当人じゃないんだからな。怪我した人を見ても、痛そうに見えるだけで実際痛いわけじゃない」



「……けど」



「お前だって、今頃もし家にいて、この件をテレビのニュースなんかで見てたらきっとーー『可哀想』の一言が出て終わりだろう」



「……お前酷い奴だな」



 苛立ちを覚えながら、振り返ってこの場を去ろうとした時ーールビーの台詞の続きが、俺の心を揺れ動かした。



「お前は『可哀想』で終わるなよ」



「えっ?」



「もう一度言うが、お前は立派な奴なんだ。他人の気持ちを知ろうと、努力しようとする凄い奴だ。でなきゃーー『オーディナル』なんてチームが生まれるはずが無い」

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