No.106 日常の崩壊。絶望の光景。
目の前に見えるホームに面した、駅舎待合室がーー突如激しい大爆発。
「がっ……!!」
先頭を歩いていた俺は、爆風に巻き込まれるように体制を崩す。
吹き飛んだ俺の身体は、後ろを歩いていた愛菜と奈留にぶつかりながらーー
「っ!がっ!痛ったぁ……!」
俺が鈍い声を上げ、突然の爆発に心臓が張り裂けそうだったが、俺はすぐに2人の安否を気に掛ける。
ふらつく頭を抑えながら、後ろの倒れる2人の方を確認した。
「だ、大丈夫か二人共!?」
愛菜と奈留は、土埃に塗れながらも、何とか痛みに耐えるように上体を起き上げる。
俺の奥に広がる光景を見た2人のーー表情が一気に絶望のそれへと変貌した。
「……あっ!そんなっ……!」
爆発が起こった方を見て、思わず声が溢れていた。
俺はぐっと息を飲んで、勇気を出して振り返る。
そこには駅の原型はほとんど無く、まさに地獄絵図が広がっていた。
「これは一体……!」
壁や天井が爆発で崩れ、あちこちで炎が上がっている。
その中でやはり一番、俺の目に飛び込んで来たのはーー辺りで倒れる負傷者の人々だった。
俺たちは一瞬で自身の負傷の事は忘れ、目の前の大惨事に驚愕して言葉を失っていた。
その時俺たちの背後から、聞き慣れた大きな声が叫ばれた。
「柚木ー!無事かー!?」
駆け寄って来たのは、”エージェント”の白服姿に変身した、ルビーとエメラルドの2人だった。
ルビーは荒れ果てた現場を見渡して、悔し顔を浮かべて呟いた。
「なんだこれは……!ガス管でも爆発したか……!?」
「が、ガス管……!?」
「あぁ、都市ガスが地下のパイプラインを通ってるだろ?あれが破損して、ガス漏れを起こす場合が過去の大事故にもあった。ガスが滞留して、煙草等の簡単な火気の使用で、ドカンだ」