No.105 男女差別の次に待っていた予期せぬ出来事
「奈留ちゃん!偶然だね!」
嬉しそうな愛菜には悪いが、痴漢呼ばわりされた俺は誤解を解きたい。
「えっと……ごめん。愛菜説明して。その子は誰だよ?あと俺の痴漢冤罪を晴らしてくれ」
「隣のクラスの露草奈留ちゃんだよ。知らない?」
「えっ!?同じ学校で同い年!?初めて見る気が……」
失礼申し訳ないが、頭を抱えて悩むも記憶にない。
そんな俺に、愛菜は冷めた表情でズバッと言う。
「学校に昼寝しに来てるもんね柚木君は」
言い返すことが出来ず、俺は困った表情で黙り込む。
愛菜は俺を無視するように、本を取った奈留の表情を見るなりーー
にんまりと笑って抱きついた。
「あ、愛ちゃん!?」
「ほんと可愛いなー奈留ちゃんは!女の子らしくフワフワで柔らかくて!」
俺は女の子に抱き着く愛菜を見て、今朝のアメシストの胸を揉みしだくルビーを重ねて思い出した。
ーー俺がちょっと肩を触れたら痴漢扱い…これが男女差別か……!
などど決して口にできない事を考えながら、窓の外を見ていた。
しばらくして、街外れの駅が見えてきた。
ここで電車に乗り換えて、二駅ほどで目的地だ。
« お待たせいたしました。次はーー»
バスの車内アナウンスが入り、俺は慌てて手元の降車ボタンを押す。
しばらくでバスが駅前バス停留所に到着し、俺と愛菜ーーそして偶然目的地が同じだった奈留が降車した。
「一緒だね」なんて愛菜が言って、奈留と二人並んで俺の後ろを楽しそうに歩く。
俺は少し仲間外れを感じながら、駅の改札を越えようとしたーー
その瞬間だった。
誰がこれを予知できただろうか。
目の前に見えたホームに面した、駅舎待合室がでーー突如激しい大爆発が引き起こる。
先頭を歩いていた俺は、爆風に巻き込まれるように後ろへと吹き飛んだ。