No.102 お前は今日からメイドだ!
ルビーはアメシストの正面に回り込み、指を指して言い切った。
「ーーアメシスト!お前は今日からメイドだ!」
「えっ!?えっ!?」
当然アメシストは驚くが、ルビーは問答無用で動き出す。
「ほら!そうと決まったら、早速着替えろ!とっとと脱げ!メイドはメイド服着るのが常識だろうが!」
強引鬼畜に、無理矢理アメシストの履いていたショートパンツをいきなり脱がし、更には俺達がいることをお構い無しに、上の服を脱がしに掛かった。
「いやだったらまずその服用意してから脱がせよ!」
そんなアメシストは当然泣き叫んだ。
「嫌ですー!助けてー!うえぇーん!!」
※
数分後。
俺は逃げるように自宅を飛び出した。
ルビーはやはり、俺が今までに出会った女の中で、断トツにやばい。
スマートフォンを開きながら、今後のルビーとの付き合いに不安を感じながら歩いていた。
別に行く宛もなく歩いていると、通りかかったバス停留所で、見慣れた少女を目撃する。
「ん。あれは……」
赤いフードパーカーを被り、何やら楽しそうにニコニコの笑顔で、一人イヤホンで何かを聴きながらバスを待つーー赤髪愛菜の姿があった。
俺は近付いて声を掛けた。
「何やってんだ愛菜?どこか行くのか?」
すると愛菜は俺に気付き、イヤホンを外してフードを取った。
「あっ、柚木君。おはようーー」
イヤホンに繋げていたスマートフォンを取り出して、音楽アプリの停止ボタンを押す。
その時チラッと見えた画面に、先日配布したーー”エージェント”のアプリアイコンが見えた。
愛菜は俺の視線に気づき、不自然に慌ててスマホ画面を手で隠す。
「お、お婆ちゃんに会いに行くところなの!」