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僕のレベル(だけ)は120!  作者: 田中 カース
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プロローグ

読みにくかったら本当にすまぬ

 ―――うるさいな...。


 周りから聞こえるものすごく多くの声から、思わずに目を開けてしまう。そして、目の前の光景をみて、思わず口から驚きの声が漏れる。多分だが、今までの記憶の中で、驚きの声をあげたのはこれが初めてだと断定出来るだろう。


 驚きの声が出るほどの光景はあまりにも普通でどこにでもありそうなのだけど、その光景は僕には違うように見えた。その光景は、人が忙しそうに右から左に流れていく人もいれば、道の隅で話し合う人がいたり、ごくごく普通の街の様子だった。


 そんな感じの光景は、まあ普通の街であり、普通の人が見ても特におかしい事など1つもないだろうが、僕には全く違う光景に見えた。なぜなら、全く見覚えがない所にただ一人突っ立っていたのだから...。


 どうして、ここにいるのか記憶を掘り返してみたけど、残念ながらこの辺りの地形は全く覚えがないし、最低でもこんな街に来たこともないし、見たこともない...気がする。


 そんな街の中で、今の自分は人々が忙しそうに歩いてる様をただ呆然と眺めているだけだ。しかも、道のど真ん中にいるのだから、人に迷惑がかかっているのでは?とは思ったけど、道のど真ん中にいて、人に迷惑がかかっている事は、重要じゃないし、迷惑はかかってても僕には何のダメージもないから、そんな事は置いておこう!


 そんな事よりだ。今の僕はそれは、無一文と言うべきか、何にも荷物を持っていないという状態で、何にも持っていない事自体もおかしい気もするかな。せめて、お金ぐらいは少しでも持っていてもいいと思うんだけど、今の僕にはそんなものが全くもってないように思える。着ている服も、これを売ったら生きていけないだろうし。


 そんな風な考えが頭に過るが、それ以外にもおかしいことに気がつく。そもそも、どこからどうやって来たんだろうか?ここがどこか、という話の前に、そもそも何の目的があってここに訪れたのか、という事すらも覚えていないのだ。


 いや、こういう時は焦らずに一つ一つ自分の直前の行動を思い出してみるのがいいかもしれないな。―――ここに来る前は...。


 来る前は...何をしていたんだっけ?いや、そもそも、どこに住んでたんだ?ってより、自分の名前は?家族は?家は....???


 ダメだ、何にも思い出せない...。これっていわゆる記憶喪失ってやつなのかな?こんな経験、一生に一度あるかどうか位の経験に感じるけど...こういう時って最初にやるべき行動は、僕を知っている人を探すことかな?


 いや、本当にそれが正解なのか?そもそも、僕を知ってる人がここにいるっていう保証はあるのか?


 何をするのが答えなのかも分からないな...。でも、とりあえずは、何でもいいから情報を集めないと。全くもって見慣れない街だけど、そこら辺の道で暇そうな人を探しだし、この街の事を少しでも聞けば何か思い出せるのではないだろうか!という結論に至った。


 つまり、そこら辺にいる仕事がないようなかわいそうな人に話しかけてあげるという慈善行為でもあるのだ!一人だとさびしいだろうしな!つまり、一人ボッチに構ってあげる僕は優しいってことだ!


 ちなみに、今もこんな考えを出している間も、道のど真ん中でずっと立っていて、おもいっきり通行の邪魔になってるけど、悪いけど道端に避けるとかそんな事はしない!なぜなら、僕が先にこの場所にいたから、迷惑だろうが、ここにいる権利はあるはずだ!


 それに、ここにいた方が暇な人を探しやすそうだし!周りに迷惑がかかっても、それは仕方がなかったんだっていう名目で貫こう!


 ...普通の人間だったら、自分の行動が悪いことだと自覚したら、罪悪感から少しでもその行動に抵抗が出るのは当たり前のはずだ。だが、この男は違った。簡単に言えば、人間のクズだった!だから、全くもって一切の罪悪感を感じてはいなかったのだった!


 ...こうして、クズで記憶を失くしたダメ人間の最初の冒険が始まった...。

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