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VS国家 Ⅰ

 現れた国家さんを見て俺はテンションが上がった。正直ここまでの展開が演説とか政治的な話(国家と国民がどうとか)ばかりでうんざりしていたのだ。だが、こういう感じで登場してくるのであれば話は早い。倒すだけだ。

「いいぜ、SSSRの力見せてやる」

「そう来なくっちゃ」

 国家さんは国家さんで実戦の方が自分の力が誇示出来ると思ったのか、好戦的な様子である。


 俺と国家さんはにらみ合う。周囲にいた群衆は何だ何だとどよめいていたが、とりあえず危険存在だということは分かったのだろう、遠巻きになっていく。それをイリスが順次避難させていく。俺は群衆が広場から出たことを確認してから杖を具現化させる。国家さんも民衆を巻き込むのは嫌なのだろう、避難を待ってくれていた。避難した人々は広場から少し離れた役場などの高い建物の屋上から俺たちの様子を固唾を飲んで見守っている。


 避難が終わり、イリスが戻って来たところで俺は開戦する。

「まずは小手調べだ。流星よ、降れ」

 今までのシューティングスターでは単に流星が降ってくるだけだったが、俺のレベルの上昇とともに威力が変わるのか、空が一瞬暗くなる。そして星々が国家さんに降りそそぐ。


「光の円環」

 国家さんの頭上に巨大な光の環が現れ、まるで屋根のように流星を防ぐ。流星は環に衝突してきらきらときらめきを残して消えていく。

「じゃあこっちも行かせてもらおうかな」

 光の環はきらきらした粒子のようなものに変わる。そしてそれらの無数の粒子がこちらにすごい勢いで飛んでくる。


「流星!」

「セイクリッドバリア!」


 俺は流星を飛ばして光の粒子を迎撃し、イリスは防御魔法を展開する。粒子は防御魔法にぶつかり、そこかしこできらきらした光が発生する。まるでダイヤモンドダストのようなきれいさがある。


「ちょっと弱くなっていますね」

 不意にイリスが小声で言った。

「そうか?」

 正直俺にはよく分からない。

「勇者様が迎撃魔法を使ったとはいえ、SRの私の防御魔法で攻撃が防げています。私が有能なのを差し引くとしても、相手にそこまで圧倒的な力はないような気がします」

「そ、そうか」

 言われてみれば初めて会った時の方が圧倒的なオーラを発していたような気がする。こいつの言動にはもう突っ込むまい。

「だとすれば先ほどの演説というのは効果があったのだと思います。私は演説を続けるので戦いはお任せします」

「言われんでもやるさ」


 俺が頷くとイリスは大きく息を吸い、避難した人々に話しかける。魔法を使っているだろう、遠くからでも人々はイリスの声を聞きとっているようであった。

「皆さん、これが戦いです。戦争が起これば高レアリティの者が放つ魔法により多数の低レアリティの者はなすすべもなく虐殺されるでしょう。結果が見えている戦いほど悲惨なものはありません! 争わないことこそが一番だと思いませんか?」

「小癪な」

 国家さんは顔を歪めて大きな光の球を生み出す。光の球はふよふよとイリスの方へ近づいていく。


「危ない!」

 俺は思わず玉とイリスの間に入り、杖を球に向ける。杖から大量の流星が光球に向かって放たれ、爆発する。ドドドオオン、と地の底から響くような音とともに光球が爆発し、俺に向けて光線が降り注ぐ。光線が俺が着ている服を貫いて皮膚に突き刺さり、体中に痛みが走る。

「いてて」

 いくらSSSRの肉体と言えども痛みは覚えるのだが……


「あれ? 確かに前の時よりも痛くないような気がする」

「ということは弱まってる?」

 今まで俺とイリスの間で隠れていたリアが尋ねる。

「ああ、イリスの演説は効果ありだ」

「分かった。じゃあ私ももらったこれを使う」

 そう言ってリアはイリスからもらった“SR相当の箱”を取り出す。一体中にはどんなすばらしい宝物が入っているのだろうか。とはいえ、こんな化物を倒すのに使えるのであれば宝物も本望だろう。

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