祝 戸籍取得:(後編)
次回は3話です!
朝、時計塔の鐘で目覚めた俺は浄化で体を清める。
毎度のことながらこの魔法は素晴らしい。
体が綺麗になるのはもちろんのこと、頭の中までスッキリするので、寝起きでも爽快な気分だ。
俺は昨晩頂戴した服を見に纏う。
この服は帝都でもよく着られているデザインなので、これを来ているのを見られても昨晩の泥棒だとバレることもない。
「よし、バッチリだな!」
サイズもぴったりで、全身を見回しても怪しいところはない。
今の俺を見て、スラムの浮浪者だと思う奴はいないに違いない。
拠点をでて帝都正面門まで歩き、きちんと通行税を払って中に入る。
通行税は入る時に銀貨1枚払うと、一週間は出入り自由らしい。
前回はそんなこと教えてくれなかったくせに、全くひどい差別だ。
少し歩くと何やら物々しい雰囲気の男たちが一つの店の前に集まっているのが見える。
「鉄製のドアが捩じ切るように…一体どんな化け物が…」
「ご婦人、何か心当たりは?」
「ありません…今朝店を開けようと一階に降りてきたら既に!怖い…なんでうちに、怖いわ…」
どうやら機能盗みに入った服屋に警備兵が集まっているようだ。
あのムカつく女店主は顔を真っ青にして震えている。
気分の良くなった俺は軽い足取りで役所に向かう。
中は結構広くて、カウンターには4人並んでいる。
三人はおっさんで1人は女。
むさいおっさんは嫌だったので、若い女の所で手続きをすることにした。
「本日はどのようなご用件でしょうか?」
「帝都の戸籍を取得したい」
女は少し怪訝な顔をする。
それぞれの都市に一定期間滞在する者は戸籍を取得することによって治癒術師による治療を受ける権利、住宅を購入する権利などを得ると同時に納税、兵役の義務が生じる。
この時期に帝都の戸籍を取得すれば、健康な成人男性ならまず間違い徴兵されるだろう。
戸籍のない辺境の村から出てきたにしても時期が悪すぎるし、不思議に思うのも当然だ。
「では、必要事項を確認し、一番上の空欄に名前をご記入ください」
怪訝な顔をすぐに引っ込めて、事務的に言ってくる。
俺も深く追求されると嬉しくないので、この方がありがたい。
「ではゼノン様、来月から金貨1枚の納税と、戦時の兵役の義務が発生します。住所が決まりましたら、再度役所の方にご一報ください」
「わかった。ありがとう」
とりあえず俺の出来うる限り最大限に丁寧な口調を心がけたので、ボロは出なかったはずだ。
一仕事終えてホッとしながら役所をでる。
しかしこのままでは来月の税金を払うあてがないし、ましてや家なんて買えるわけがない。
手持ちは銀貨少しとそれ以下の効果が少々。
非常に心もとない。
だから俺は、このままの足で軍基地へ向かい志願兵となるつもりだ。
軍に所属している間は免税されるし、活躍すれば褒賞金も出る。
どうせ来月には徴兵されるなら、早いうちから軍になじんでおきたかったし、苦手な敬語や礼儀なども知っておきたかった。
幸い俺は少しだが魔法が使える。
早々に野垂れ死ぬ事はないはずだ。
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