表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
力を得たクズの好き勝手ライフ  作者: せっしょーまる
一章:人になる
5/9

怪盗ゼノン:(中編II)

この後の後編で二話前までの話は最後です!

 ひとまずの目標も決めたことだし、早速それに向けて魔法鍛錬をはじめよう!


 ……魔法鍛錬て、なにをするんだ?


 スラム生まれスラム育ちの生粋のスラムっ子であるこの俺が、そんなことを知っているはずがなかった。


 まぁ、あんまり深く考えても仕方ないし、昨日みたいな感じで魔法を使ってみればれんしゅうになるだろう。


「うーん…ん…おっ!出来たぞ」


 右手に意識を集中して、俺の周りを漂う綿毛もどきから力を借りると、魔法の発動準備が整ったのがわかる。


 いざ。


「…まてよ?このまま部屋ん中で打ちまくったら穴だらけにしちまうなぁ」


 もともとボロ屋敷ではあるが、しばらくの間の俺の拠点でもある。


 わざわざ追い討ちをかけてやることもなかろう。


「じゃあ(回復(ヒール))にするか」


 これなら家を壊す心配もないし。


「…だめだ、発動しない」


 何回か自分の体に向けて試してみたが、魔法は発動せず、詠唱と同時に光がむさんしてしまった。


 どうやら傷に向けてでなければ発動できないようだ。


 ありがたいことに、俺の体は全くの無傷で五体満足の健康体だ。


 光るアレを食べて以来、些細な擦り傷も心なしか治りが早い。


 仕方がないので、目標とする場所を決めて被害を抑えつつ(光線(レイ))で練習するはことにした。


 朝6時の鐘が鳴る。


 俺は気合いを入れて同じ場所に向けて魔法を打ちまくった。


 時計塔が午前9時を告げる鐘を鳴らす頃だろうか、俺は疲れてきたので休憩することにした。


「ふぃ〜、疲れたぜ、まほうはたのしくてしかたねぇなぁおい!」


 俺は鍛錬の成果に大満足。

 笑顔で額の汗を拭った。


 三時間ばかし魔法を打ちまくってただけだが、始めたばかりということもあってか次々と成果が出て笑いが止まらない。


 まず、体に流れる何か有益そうな力の動きを感じ取ることができるようになった。


 魔法発動部位にこの有益そうな力を集中して魔法を打つと、明らかに威力が上がったのだ。


 最初は制御できずに発動してしまい、横にあった机に大きめの穴を開けてしまった。


 次に、身体能力が上がった。


 これは体を流れる力を高くしたことによって、強化したい部分に力を流れ込ませることによってなされた。


 今は全身に薄く纏って全体を強化している。


 薄く纏ったら全身にしょっぱい効果があるだけかと思ったら、そんなことはなかった。


 その状態で軽く上に飛んでみたら、ものすごい勢いで飛び上がってしまい頭がボロ板の屋根を突き破って埃まみれになってしまった。


 力いっぱい飛んでいたらどうなっていたことだろうか。

 やめておいて良かった。


 そしてこれが一番の成果だろう。


 これから末永く俺を支えてくれるであろう、究極にして万能の魔法―――(浄化(クリーン)


 先住者の汚物、腐ったクズ肉、鼠の死骸、俺の汚い体。


 この部屋にある汚いものは消滅するか、綺麗な状態に生まれ変わるかのどちらかの道を辿った。


 この魔法を習得してからは興奮して部屋中のものに発動しまくった。


 三時間の成果のおさらいをしたところで、体が微妙に怠いことに気付く。


 ずっと部屋にいたのに何故だろうか、いや、肉体が怠いという感じではないな。


 俺は体を流れる力に意識を集中させる。


「…ん?少し減っているか…?」


 体を巡るエネルギーの量が体感2割ほど減っているような気がする。


 なるほど、魔法を使うにはこのエネルギーが必要で、これが消耗すると疲れるようだ。


 今日はここら辺でやめておこうか…いや、やはりまだ続けよう。


 俺は自由に奪い、殺し、食す。

 そんな存在になりたいと願っていたはずだ。


 そのためには立ち止まってはいられない。


「限界までやるか」


 その日、日が沈むまで魔法を使い続けた俺は翌朝、身体中を支配する猛烈な吐き気と悪寒で目が覚め前日のことを後悔した。



 ◆◆◆




 あれから二週間、吐き気と悪寒に苦しみながらも俺は連日、限界まで魔法を行使した。


 その甲斐あっていくつもの魔法を習得し、ついにこの日を迎えた。


 俺は未だ、襤褸を着ている。


 この格好だとすぐにスラムの住人だとバレて色々な面で不利だ。


 俺が帝都中央通りに進出するにはまともな服が必要だ。


 しかし困ったことにどこの服屋もスラム在住の俺には買い物させちゃくれない。


 ならばどうするか―――盗むのだ!


 俺は完璧な計画を立て、そのために必要になるであろう魔法もこの二週間、のたうち回りながら習得した。


 結構は今夜。

 怪盗ゼノン出撃だ。


 皆が寝静まった深夜、俺は服屋の前に堂々と立っている。


 服屋の建物は二階建てで、一階が服屋、二階が居住スペースになっているようだ。


 俺を追い返しやがったいけすかない服屋に仕返しの意味も込めて来てやった。


 心が狭いとかそんなことはどうでもいいのだ。


 これから盗みを働こうってのに、そんなに堂々としてていいのかって?


 この俺が無策で窃盗だなんて、するわけがない。


 すでに自身に(不可視化(インビジブル))の魔法をかけ不可視となっている。


 俺は腕を集中的に強化し、鍵のしまったドアを、音を立てないように鍵穴ごとねじ切って外し、静かに開ける。


 俺は中の入り(光源(ライト))を発動して室内を照らし、男物の服を2、3着見繕う。


 そういえば体がふた周りほど大きくなっているんだったな。


 180センチ前後のものを選びなおす。


 そして入ってきた入り口から足音を立てないように注意して素早く退却する。


 そこからは脚に強化を集中させ屋根の上を飛んで帝都から出る。


 夜は門が閉まっていて門兵もいないので楽々脱出できる。


 門が閉まっているならどうやって出るのか。


 正面突破である。


 正面突破といっても、閉まってある門をぶち壊すわけではない。


 そんなことをすればすぐにワラワラと兵士が集まってきてしまう。


 俺は来た時と同じように、高さ十メートルを跳躍し、壁を乗り越える。


 こうして誰にも見つかることなく、拠点に戻った俺は戦利品に満足して眠りについたのだった。






読んでくれてありがとございますm(_ _)m


評価くださった方、ありがとうございます!初評価、とっても嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ