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第37話 アマゾネス

「シゼルッ!!人間が1人落ちて来たぞ!!」

「よし、全員一斉射を続けろっ!!奴をハチの巣にしてやれっ!!!」


 最低限の布だけ身体に巻き、女性ながらに筋骨隆々な者達、総勢50人が分厚い弓と図太い弓矢を構えて、風を切り裂く様に斉射する。誰かの発声を合図にすることなく、隊列を組んでからの同時斉射。巨木ぐらいなら楽に風穴を空ける威力が、1人の人間に対して迫る。


「……――――ッッ」


 サナリアはその矢の雨を、落ちながら斬り捨てていく。一振りするごとに矢の一本一本が弾け飛び、真っ二つになり、バラバラになる。空中戦は余りしたことのない彼女だが、ただ真っ直ぐに向かって来るだけの遠距離武器など防ぐまでも無かった。


 そうして全ての矢を無力化し、”アマゾネス達”の目の前に着地したと思ったら、既に彼女達は次の手を打っていた。


「「「――――ッッ!!!」」」


 サナリアを中心に、周囲360度に散らばり、全員からの一斉射。当たれば針山の様な姿になるであろう猛攻ではあるが、


「あらよっとっ」


 バシャァアアアーーーーッッ!!!


 回転剣舞。全ての矢の軌道を読み切り、踊り舞う様にして全て半分両断してしまった。流石にこれにはアマゾネス達も驚いてしまう。それを見て話すチャンスだと判断したサナリアは剣を仕舞って手を挙げる。


「いきなり攻撃してきた説明をまずして欲しいんだけど。もしかしてテリトリーに入ったから迎撃しに来たとかそういう感じ?なら謝るよ。ごめんなさい……」

「????」


 いきなり謝って来たサナリアに、一同が疑問符を浮かべてしまう。


「……どういうことだ?何が目的だ貴様」

「私と、上のは仲間なんだよ。あの馬鹿デカい奴の討伐をするつもりでこの森に来たんだけど……」

「……ぶっふっ、あっはっはっはっはっは!!お前達がかっ!?」


 返って来たのは嘲笑。ポリポリと頭を掻き気にもしないが、かなり侮られていると判断したサナリアは、上から降りて来た2人を手で遮る。止めなければ皆殺しにしそうなケイフルは特に。


「何で止めるのよ」

「戦いたい訳じゃないからね。戦っても良いけど、まずは上の人に会いたいからさ。えっと、貴方達の中で一番偉い人と話したいんだけど」


 やはり矢を向けられ、サナリアはそれを”弓ごと”俊時で斬った。その場に居た全員が、その斬った過程すら見えずに。細切れになった武器を見て、全員が拳を構えるが、



「向けた武器は片っ端から斬るから、細切れになりたいなら来て良いよ?」



 正確には戦いにすらならない、が正解だった……






 快く案内された場所は、全てが”木材”で建築された家の集合群。森を四角く切り取った場所にあった。入口から見える範囲でも民族的な羽を基調とした飾りが目立ち、女達は皆肌が焼けており、全員が筋肉質な身体。あらゆる場所に傷跡があり、歴戦の勇士達であることは容易に想像出来た。


(まるで獣人達とそっくりだね。女だらけだけど)

『古き良きアマゾネス、という言葉がしっくりきますね』


 私達は頑強そうな柱が立つ入口で沢山のアマゾネス達に囲まれ、その殺気を一身に受けていた。因みに武器は全て構えられた先から細切れにしている。


 あー、剣があると凄い楽だなぁ。獣闘祭の時は最後だけしか使えなかったから、こうして振るえると手に凄く馴染むよ。本来は武器使って戦う方が好きだからね。剣だけじゃなくて、あらゆる物を使って戦うの好きだし。武芸百般が普通だった時代を考えれば、自分に合った武器っていう考えは無い。ただ剣が一番ポピュラーで使い易いからってだけだ。


「だ、大丈夫かなお姉ちゃん?アマゾネスって、その、男は家畜って考えだから僕怖いんだけど……」

「ダイジョブダイジョブ、ルルは私のって殺気を全力で振り撒いてあげるから」

「それはそれで何だか怖いよっ!!?」


 しょうがない、私ルルフェチになり掛けてるし。



「お前達が森に入って来た者達は」


 数分ほど待っていたら、人垣が開いて1人の老婆が出て来た。老婆と言ってもローブを纏って髪が白いこと以外は、周囲のアマゾネス達とそこまでの違いは無いけれど、額に大業な魔物の羽、片目は傷で潰れており、片腕も無くなっている。


「初めまして、私の名はサナリア。人間の間では予言の巫女と呼ばれています」

「儂の名はアブル。アマゾネス族の族長じゃ。しかし、巫女か……精霊達の言葉通りか」

「えっ?」

「言っておったのじゃよ。近い内に、龍と獣人を引き連れた者が現れ、助力を仰ぐだろう、とな。だから試させて貰ったんじゃ。敢えて通常戦力だけでな……」


 ブオォッッ!!


 不意に巻き起こる烈風が、私の周囲にだけ吹き荒れた。


「風の精霊?」

「龍の女、やはり貴様は分かるか。我等アマゾネスの友の姿が」

「ええ。サナリア、そこから動かない方が良いわよ。指先だけでも動かしたら八つ裂きに――――」


「え?」

「「「え?」」」


『――ッ!!~~っ!!』


 なんかビュンビュン飛んでたから捕まえたんだけど、え?摘まんだらダメだった?というか普通の動物を見たの久しぶりだね。黄緑色に薄く透き通ったイタチだけど。


『離せ巨乳女と言ってますね』

(言葉分かるの?)

『何故だか分かりませんが理解出来ます』


「君はアマゾネスの友達なの?」

『そうだ』

「じゃあ今、ここ等一帯が危険なのも分かってる?」

『分かってるけど、伝えられない』

「ああ、通じないのか。じゃあちょっと説得するから協力とか頼めたりする?」

『契約してるから、ムズし』

「なるほど、分かったよ」


 それでぽいっと投げると、そのまま風に消えていった。良く見れば、上空にも同じ色した色んな動物が並んでいるのが見える。というかこれ『劣化妖精魔法』でディアナが見せてくれるのか。


「「「……」」」

「お、お前、言葉が分かるのか……?」

「え?……いや、ニュアンスだよ」

「にゅ、にゅあ?」

「雰囲気でなんとなくってことだよ。それで、精霊さんがなんだっけ?」


 周囲はすっかり黙ってしまっていたのでケイフルを見る。助けを懇願する眼で見つめる。何故かチョップされた。ルルを見た。足に尻尾が巻き付いてきた。おん?


「あのねぇ、精霊っていうのはこの世界で妖精と双璧を成すほど神秘的な種族なのよ。世界が生まれた頃から生きる歴史の渡りビトであるわ…………アルカンシェルから聞いた話しだけど」

「へぇ……で、誰も会話したことないと?」

「彼等は妖精を介さないと話せないのよ」


 なるほど、だからか。ならそろそろ時間を動かしてあげないと。


「えっと、とにかく用件を言いたいから、族長さんの家とかで仕切り直ししません?」









「人類戦線への参加、か」

「そうです。僕達は今、世界を守る為の戦力を必要としています。正確に言えば、巫女と共闘出来る戦力を……で、良いんだよね?」

「そうでーす」

「その通りね」

(……何で僕が交渉役なんだろう)


 集落の最も大きな建築物内にて、私達は床に座って早速交渉をしていた。勿論その役はルルである。何故かって?私より丁寧に喋られるからさっ!!


 ハッキリ言って私は戦場屋なので、こういった場で楽が出来るならそうしたいのだ。だから私とケイフルは後ろで応援している立場にある。私にやりたい事を分かっているルルなら問題も無い。


「ですので、この地に生きる種。アマゾネス、エルフ、ドワーフの力を借りたいと考えています。他の2種族にはまだ出会えてはいませんが、いずれも御力を借りるつもりです」

「……ヒューリの息子にしては、良く出来た坊やだよ」

「え?し、知っているのですか父を?」

「馴染みさ……話しが逸れたね。戦力についてだが吝かじゃない。ワシ等アマゾネス”だけ”はね……」

「……だけ?」


 意味深な発言が飛び、場が固まる。アブルさんは呆れ果てた様子で、2つの種族について話すのを躊躇いがちに、濁した。


「なんというか、話すのも馬鹿らしい理由から、今あの2種族は対立しているんだよ。といっても、ドワーフの方が一方的にね」

「原因はエルフ側ってことですか?怨恨……とか?」

「いいや、もっともっとどうでも良い、それこそ聞けば馬鹿らしくて相手するのも嫌になる理由さ」

「「「???」」」


 んー……種族間の対立って大概差別的な要因か怨恨目的が殆どだけど、そういう感じじゃなさそうだ。


「とにかく、案内役を付けてやるから行ってみると良いさ。どっちも一筋縄じゃいかないだろうがね……それと、もう1つ」

「なんでしょうか?」



「あれを倒すのは、諦めな」

「あの、僕、どうしてこんなに睨まれているの?」

「ルル、周囲は皆女さんだよ。つまり……結婚相手募集中なのさ」

「違わいっ!!」

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