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第11話 王都ラダリア

 あの後、私の訴えを通信が出来るっていう魔道具で王都に連絡をして貰ったところ、無事私は五体満足で解放された。もう少しすれば彼等の御飯を別けて貰えたんだけどねぇ。ラダリアの備蓄飯、ちょっと楽しみだったのに。


『もっとちゃんとしたのを食べたいと思って下さいよ』

「えー、私レーションとか好きなんだけどなぁ」

『あんなケミカル物質な味が……?味覚音痴?』

「未来ではもっと美味しくなってるんだよ~~」


 そりゃあ昔は酷いもんだったけど、転生する度に進化していくから結構楽しみでもあったんだよ。まぁこの世界だとそういう完成度高い工場品って無いだろうから長持ちするのって乾物系なんだろうけど。



 国境から普通に歩いて丸1日すると、私達の眼前に、巨大な木のドームが見えて来た。その周囲には街や城が見える。どうやらあれらしい。


「着いたね」

『遠目から見ても明らかに異質な建物が多いですね』

「まぁ聞いた限りじゃ想像通りだけど……うん、確かに凄いね」


 城は全面が石壁だけど、その隣に建ってる巨大な工場施設っぽいところは全面金属の壁っぽいし。あのドームが所謂『獣闘祭』の会場なんだろうけど。そこを丘から見下ろすと、まるで切られたピザみたいに細かく区画別けされているのだ。


 なるほど、あれで種族別けしているのね。で、王様の種族の区画に城があると……しかし、私が入ることを許されたってことは、私の情報間違いなく国中に伝わってるよね?


『まぁそうでしょうね。さて、どれだけの殺意に晒されることやら』

「他人事だと思って、もう……」


 と言っても、そういうのには慣れてしまっているから少し悲しい。殺意も敵意も、興味を持たれると思えば気持ち良い物だし。



 そういう気持ちでいざ王都の門まで行くと、早速門番である白い狼の獣人に止められた。


「止まれ。確認するが、レーベルラッドの巫女だな?」

「そうだよ。話は?」

「……」


 案の定話は通っているみたいで、唸る様な敵意が叩きつけられた。けど残念、それぐらいはそよ風だ。それが分かった様で、即座に顰めてくれる。


「失礼した……」

「いえいえ。それで、私はどの程度この国で自由に?」

「……城に直行ではないのか?」

「え?普通にたんけ――――――ゲフンゲフンもとい観光するつもりだったんだけど?」

「今探検と言おうとしたな?」

「なんだこの者……本当に巫女か?乳袋も大きい……」

「とにかく、監視付けるでも何でも良いけど、まずは城に行くよ。誰か付き添いは?」

「……私が行こう。隊長のオージャスだ」

「よろしくっ!」


 門番達の中で最も身体の大きい白狼の獣人、オージャスという人が来る事になった。というかこの人はほとんど狼男だな。顔も狼だし。彼は「こっちだ……」と静かな物腰で前を歩き始めたので、それに着いて行く。


 というか凄く興味深い。獣人達は同じ種族でも、個体差によって人型に獣属性の濃さが変わってくるんだね。遺伝子とかどうなってるんだろう?人間と交配はしないだろうし。


『是非研究したいですね。解剖に罪人とかくれませんでしょうか?』

(気持ちは分からなくもないけどマッドな考え止めようね)


 街並みを見ると、ほとんどの家が木造で、大きさや形的には日本家屋を思い出す。庭広いけど。後この国、全体を超巨大な樹木にまるで檻の様に包まれているのだ。面白い。基本的に自然の構造物内に住んでるんだね。


「オージャスさん、白狼獣人でも偉い方?」

 ふと話し掛けてみたら、義務的な抑揚だが口を開いて答えてくれた。

「……族長の息子になる」

「へー、偉い人だね。獣闘祭には出るの?」

「俺が?ふんっ」

「お、笑ったね」

「―――ッ」


 少し話して引っ掛けたら釣れた。顔を赤くして睨まれたけど、顔を反らしてズンズン行ってしまった。待って待って、私と貴方身長倍ぐらい違うんだから。速足じゃ追いつけなくなっちゃうよ。


「ごめんごめん。オージャスさん強そうだけど、やっぱりもっと強いのが居るんだね」

「当たり前だ。我等の社会は強さこそを尊ぶ。戦いに長く、そして常に身を置いている者こそが力を手に出来るのだ」

「それは共感出来るね」

「ほう、人間にしては分かるな。獣人とは人間などより遥かに優れた力を、潜在能力を持つのだ。まだ若輩者の私でも、いずれは……」


 なるほど、ちょっと覗いたけど、彼の年齢は50歳。それで若輩者ってことは、強い人は最低でも数百年は生きてるんだね。ほんと、長い種族ってどのくらい生きるの?って話よ。


 他にも色々とオージャスから、一通りの獣人の暮らしってやつを聞いてみたんだけど、こっちはかなり近代化していた。魔道具研究が人間の遥か先に行ってるっていうのは伊達ではないらしい。水道も、火も、光も全て魔道具が使われており、生活水準がかなり高い事が分かった。トイレが水洗式っていうのがポイント高い。


 後やっぱり途中でやっている屋台とかには寄らせて頂いた。ケバブっぽい何かとここ等辺で狩れる魔物の肉串とか食べたよ。他にも色々あるけど、次の屋台に行こうとした瞬間オージャスさんに首根っこ掴まれて怒られたので大人しく城に連行された。




「今より王が来る。此処で待て」


 そう言って通されたのは、玉座のある間だった。というか入口から入ったらそのまま辿り着いた。なんてシンプルな……そこから色んな場所へと繋がっているっぽい。此処の王様は結構フランクなんだなぁ。


『見たことの無い種の樹木ですね。自然のままこの形になっている様ですし、加工された跡も無い。自然物を自在に育てる技術もあるようですね……』

(魔法っていうのはつくづく便利なスキルらしいね。魔道具も)


 こういった国としても下地もしっかり作って統治をしている。王権制ってもっとギスギスしているものかと思っていたけれど、これだけ落ち着いていると案外良いのかもね。私の世界だと権利闘争で暗殺とか日常だったし。


 と、暫く待っていたらとても雄々しい狐尾が8本生えたの獣人がぬっと現れる。というか大きい。オージャスさんで3mぐらいだったけど、この狐獣人は身体の代わりに尻尾が大きかった。物凄くダイブしたい衝動に駆られる。本体は毛に覆われてても分かるぐらい筋骨隆々だけど。


 狐の王は玉座にドカっと座ると、私を見据えて不敵な感じで口を開く。


「よう、お前がレーベルラッドの予言の巫女か?」

「ええ、お初にお目に掛かります。サナリア・フォルブラナド。レーベルラッドと申します」

「うむ。俺はヒューリ・フォックス・ミーニャント・ラダリア。第250代目の獣王だ。見た目で分かるが狐族の獣人になる。そんで早速なんだが……」


 眼光は鋭くなり、私を王として射抜く。


「例え獣戦祭で勝ったとしても、共闘は出来ない。それが俺の回答だ」

「……はぁ、もう畏まるの止めて良い?」

「おおいいぞ、お前はこの世界で唯一『奴等』に宣戦布告した人間だ。俺はお前を対等として見ている」


 どうやら全てお見通しみたいなので、私は改めて王と対面した。彼の覇気は、ああなんと心地良いんだろうか。これが風格ってやつ?


「この国の現状を教えてくれる?」

「おい、メーウ。読め」

「ほ、本当に宜しいのですか?」

「俺が許す。他の族長は獣戦祭で黙らせるさ。この嬢ちゃんがな」


 どうやら出るのは許されたらしい。メーウと呼ばれた……モコモコしてるなぁあの人。羊かな?後で触らせて貰えるかお願いしてみよう。


 メーウさんは紙束を開き、渋々とこの国の現状を教えてくれた。まぁ、この国を少し回った時点で、余りに『人が少な過ぎる』と感じていたから。大体予想通りなんだけどね。


「現在、我が国を囲う様にして点在するダンジョンの数。およそ1000箇所。そこに割いている6割の戦士達と、王都に常備している4割で我が国は保たれています。『波』が起こった際にその4割を派遣し、これを残滅。持ち帰った素材にて魔道具を作り、常時戦力の補給も行っているのです。つまり―――」


「人間が現在敷いている東西の戦線に回す戦力の余裕は無い……って訳か。なるほどね」

「レーベルラッドの『波』に救援を寄越せなかったのを謝るつもりはねぇ。少なくとも、カイルスはそれを分かっていて手紙を寄越し、俺の返答を受け取った。あいつなりに、覚悟をしたかったんだろうが」

「それについては何も言うことは無いよ。私の関与しない部分だから」


 以外にクレバーなんだな、って感じで見られたけど、そういう戦いの矜持みたいな物を穢すってやり方は嫌いなんだよね。私だって大事にしている部分あるし。


 けど、今現在聞きたいのは戦力だけじゃない。


「ダンジョンが活性化している原因については何か分かってる?」

「……1つだけな。ただ、これは人間に対して話しても無駄かもしれん。そして我が国の秘中に属するだけあって早々には話せんよ」

「なるほど、魔道具に関しているのね」

「聡しいな、全く……手紙で聞いていた通りか」

「あら、文通友達?」

「奴がガキの頃からの腐れ縁だ。ほっとけ……ま、お前さんが最後まで勝ち残り、俺と戦って勝てたら教えてやるよ」


 メーウさんの方を向くと、獣闘祭についての説明もくれた。


 計60氏族から代表者を選び選出する獣戦祭。最初に氏族内での選抜を行い、その後あのドームにて本選が行われると言う。そこでトーナメント式に勝ち上がっていき、最終的な優勝者が王への挑戦権を得る……と。


『確か人間の国でも同じのがありましたね。コロシアム、でしたか』

(あれは奴隷で遊ぶ戦いだから誇りも糞も無いよ。こっちは伝統でやってるからガチだね)

『なんにしろこれで情報を得るチャンスが出来ましたね』

(異常に話しの分かる王様だったしね。他の人間の国の王がどうかは知らないけど。この国では強いことが大事って感じらしいし、爺様が私のことを手紙でフォローしてくれたんだろうなぁ……)


 感謝し、必ず活かそう。


「分かった。じゃあ必ず勝つから、教えるの約束ね」

「おお良いぜ。よっし、今年は久々に面白い事が起きて起源が良い!!メーウッ料理長に酒を持ってこさせろ!!おう嬢ちゃん。お前には城の部屋を貸してやるぜ。街中だと騒ぎが起きるからまだ許可出せねぇが、城の中なら好きにしな。ただ、他の氏族長も歩いてっから、そこの奴みたいに睨まれると思うが我慢しろよ?」


 指差された先を見ると、玉座の間の左右を挟む様にして設置されている椅子に座っている色々な種族の者達が、私を睨んでいた。


 おー、猿、犬、猫、鳥も結構種類が居るし、虎とか熊とか……あのライオンの人モフったら駄目かな?


『頭からパクッですよ?』


 しょうがない。全氏族負かして、合法的にやるかぁ……






 サナリアが玉座の間を去ったと同時に、ヒューリは『全力で放っていた』殺気を漸く途絶えさせた。同時に周囲の氏族長達は冷や汗を流し、メーウも息を荒げさせる。それを見て、彼は自分は確かにそれをしていたのだと再確認していた。


「くく、くくくく……」


 あの時、通常なら彼の前に立てる人間など居なかった。誰が相手でも即座に気絶させる程の気を放っていたというのに、サナリアは全くと言って良いほど動じなかった。それどころか普通にタメ口で話し、堂々と対等を気取ってみせた。それが自然であるかの様に。


 久し振りの戦慄だった。たった14歳の人間の雌が、自分に対してそれだけの力を確かに持っているという事実。そして、この国の者でも出来なかった『波』の間のダンジョン攻略。それをカイルスから手紙で知った時のヒューリは驚愕する他無かった。だからこそ試したい。


「世界が終ろうって時に、あんな化け物を寄越すとは、神って奴はお調子もんだぜ」








「はぁ~~~疲れた~~~~~お風呂やば~~~~い♪」

『だらしないですよ』

「うっさ~~~い」


 城の広い客室を借りられ、まず上着を脱いでベッドにダイブ。ふかふかさんだった。次に風呂に行って全裸になり旅の垢を落とす。結構ヤバかった。最後に足を伸ばせるぐらいの風呂に全身で浸り、おっぱいを浮袋にしてぷかぷかする。120点満点である。


 あー王様万歳。こんな良い湯に浸かるのは過去何度あったことか。しかも混じりっけ無しの天然温泉だし。極楽ってレベルではない。もっと獣人の毛とか浮いているかも思ってたけれど、侍女の人達がそこら辺の掃除を魔道具で行っているのを見て、改めて生活に浸透してんだなぁって感心した。


 しかしあれだ。おっぱい大きいのもアレかと思ったけど、案外こういう時役に立つね。水の中だと重さほぼ無いし、揉んでて手に沈み込む感じはなんだかあれだ。人を駄目にする枕ってやつ。あれに似ているかもしれない。女だけど。


「無事に全部終わったら、私も子供を産めるのかなぁ……性欲とか無いけど」

『性癖歪んでいますものね。ドン引きです』

「大体戦場で死ぬからね。しょうがないね」


 そりゃあもう口では言えないあれやこれやあったけど、今回程女っぽい身体に生まれたのは初めてだった。このもにゅもにゅとした質感、癖になる。



「う、うわっ!?」

「ん?」


 いつまでも自分の胸を持ち上げる様に揉んでいたら、突然驚いた様な声が聞こえたので横を向くと、1人の獣人が上半身裸で尻餅付いていた。子供だね。それも狐獣人の。


「あー、もしかしてヒューリ王のお子さん?どうも、巫女のサナリアです」

「な、なんで女の人間……あ、例の……――――か、隠して下さい!!」

「え?あー」

『人間の雌でも獣人の子には刺激が強過ぎる様ですね』


 ザバァっと風呂から上がってその子を起き上がらせようと手を差し伸べたんだけど、顔を背けてしまった。確かに私今裸だけど、別に子供に見られたぐらいで恥ずかしいとは思わないよ?


 とにかく埒が明かないので無理矢理その子を立たせて、私は再び湯舟に入った。流石に人前で浮かぶのはアレなので、普通に入ったよ。けど、その子は未だにその場に立ったままプルプル震えていた。どったの?


「なんで、普通に入り直しているんです!?」

「え、いや。まだ堪能してたくて。気にしないからどうぞどうぞ」

「え、えぇー……」



 結局その子は身体を洗うと、顔を真っ赤にしながらも私から距離を話してチャプンと沈んで行ったので……即座に近付いて隣に来てみた。


「何で近付くんですか!!」

「だって寂しいし。広いお風呂で2人なんだから話し相手ぐらいにはなってよ」

「うぅ~~~……」


 けど従ってくれるのか。優しい子なんだね、頭撫でておこう。


「え、えっと。貴方の名前は?」

「……ルル」

「ルル君か。私のことはサナリアで良いよ。ルル君って他に兄弟は居るの?」

「……上に、姉さんが3人」

「へぇ、子沢山だ。ルル君は末弟だと、色々お姉さんたち大変かな?」

「……別に。僕は、欠陥品だし」

「へっ?」


 押し黙ってしまった。ふーむ、この年頃の弟とかは居たけど、王族って初めてだからなぁ。もしかしらたプレッシャーとかあるのかな?


『小説の中に上の兄弟に対してコンプレックスを抱いたり憧れを持っていたりと話は尽きませんね』


 なるほど、じゃあこの子はどんな感じかな?


「私獣王祭に出るんだけど、ルル君のお姉さんって出たりする?」

「え?人間が?うっ―――」

 反応を示してこちらを向いたと思ったら、また背けられた。

「まぁヒューリ王に許可貰ってね。で、どう?」

「……出るよ」

「ふーん。お姉さん強い?」

「凄く強い。絶対に負けないぐらい」

「そっか。自慢のお姉さんだね」

「……絶対、負けないもん」

「なら、いっぱい応援しないとだ」

「えっ?」


 なるほど、こういう事もあるかとちょっと複雑な感情が渦巻きながらも、私はこの国の流儀としてその子と向き合った。


「私がお姉さんと当たっても、私は全力で相手するから、貴方はお姉ちゃんを全力で応援するんだよ?」

「……そんなの、言われなくても」

「なら良いよ。じゃ、そろそろ上がろうかな~~~♪」

「え?うわっ」

「あっ」


 立ち上がろうとした瞬間、ツルンっと足が滑ってしまっい、そのままルル君に向かってバシャーンと派手に湯舟の中に押し潰してしまった。アカン、顔を胸で包んでしまったから息が。直ぐに抱き上げた状態で起き上がり安否を確かめようとした瞬間、


「おいルル!!スマン!!巫女が居るのを忘れてたッ!?!?!?」


 そこにヒューリの声と、同時に侍女達が慌てた様子で入って来た。私はルル君に胸を押し付けて、しかも押し倒している状態である。あれ、これ詰んだ?


『詰みですね』


「ぷはっ」

「あ、ルル君平気?」

「あ、うぁ……」


 また彼は顔を真っ赤にして。


「きゅぅ~~~~」


 そのまま気絶してしまった。私?侍女達のマジヤバい形相で向けられた刃の数々にすいやせんと頭を下げるだけだった。今日の寝床?客室から牢屋にチェンジだけど?懐かしい硬いベッドだわ~~い♪


『明日にはショタコン巫女として名を馳せますね』

「せめてバーサーカー巫女が良い……」

『それもどうかと』





 あの人間は一体なんだったのか。僕は父様であるヒューリ王にいい加減風呂にでも入れって部屋を追い出されて向かったら居たあの人間の雌。おっぱいが大きくて、毛が無くてスベスベな……ち、違う。ドキドキなんてしてないんだ!!


 あの人間が巫女だというのは侍女を通してから聞かされていた。けど、本当にあんな弱そうなのが獣闘祭に出るというのだろうか?あんな柔らかい物をぶら下げて……って違う!!


「くそ、くそ……人間の癖に……くそぉ……」


 姉様達は皆父様の血を濃く継いでおりとても強い。僕は今年で10歳になるが、その時点で姉様達は遥か上だった。今も一番大きなダンジョンで最も戦果を挙げているし、今年の獣闘祭にはその中で最も強い姉様が出場する。


 それに比べれば、僕は余りにも弱かった。レベルを上げてもステータスは伸び悩むし、尻尾も小さい。顔だって獣寄りじゃない。身体能力なんてきっと人間並みだ。


(僕は……僕は……欠陥品なんだ……)


 人間に似た身体。それが嫌だった。もっと獣人らしく、誇り高い姿で肩を並べたいと思っているのに。血の薄さが余りにも現実を痛いぐらい叩きつけてくる。


 だからこうして部屋に引き籠っていたのに。今日は父様が強引だった所為で変な事に巻き込まれた。もう嫌だ。


「負けちゃえば良いんだ、あんな人間……どうせ姉様に勝てやしないんだ……」


 そう思って深々と布団に潜り。朝の光を嫌って眠りに付いた。

「ねぇそこの犬獣人さん。御飯は?」

「……」

「……しょうがない。よいしょ」(鉄格子ぐにゃあ~~)

「―――ッ!?!?げふっ!!」

「はいお休みなさい」


 その後滅茶苦茶城を探索した。

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