プロローグ 永劫に続く宇宙の果てで出会ったピンク色の何か
初めましての人は初めまして。お久しぶりの人は久しぶりでございます。
この作品は続き物になりますが、正直に申し上げるとどちらを先に読んでも辿り着く先は同じになります。
よって一応リンクを張りますが、自由にして頂いて構いません。
https://ncode.syosetu.com/n7935ef/
ということで今回はどの程度の頻度で更新出来るか分かりませんが、いつも通りノリと勢いで書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
赤、青、オレンジ、緑、金、白……を全て塗り潰す程の黒。
沢山の光が瞬き、揺蕩う漆黒の宇宙。そこに私が浮かんでいるという事は、”また”私は転生するらしい。
私にはある1つの異能があった。一番最初、生まれた頃より持っている唯一のそれは、何度生まれ変わろうとも私の記憶を『継承』させてしまうというものだ。そして私が死んだ時は、必ずこの空間に飛ばされ、次の転生先へ跳ばされる間漂っている。今回もまた、その様になった。
今回は特別……かもしれない記念すべき100万回目の転生。
転生先は毎回地球だが、年代が様々で、何故か毎回人間だった。その度に違う国、違う文化、違う人生を歩んだが、どれ1つとして同じ人生、同じ死に方を歩まなかった。なるべくは幸せな道を歩もうとはしたが、どれも最後は酷い死に様だ。何時だって最初は幸せな家庭だったけど。一度に数千人を殺す羽目にもなった事もある。
「次はどんな人生だろう……裕福で戦争と縁の無い場所であれば良いんだけど、無駄なんだろうなぁ……100万回も転生すれば、何か変わるとも思ったんだけど」
私はこれを『呪い』だと思っている。人とは違う程度であればまだ良い。けど記憶を維持した状態で100万回。年数にすれば約1億年に相当する回数だ。本来ならば当の昔に感情は摩耗し、発狂もしくは廃人になっても何も可笑しくない。けどこうやって転生する度にそういった物は全てリセットされるみたいで、生まれ変わったと同時に、そういった感情がまた新鮮に感じる様に出来ている。
逃れ方も、解呪の仕方も不明。誰かが私の魂にそうしたのかもしれないが、それも不明。未だに一欠片の希望も無いのが現状。
「……辛い、なぁ」
地獄であればまだ楽だ。私は魂の死さえ許されないのだから。
「……はぁ、考えても仕方がないか。また1から頑張って『ポヨン』―――……ぽよん?」
突如、頭に何か柔らかい物が当たった感触が広がる。この宇宙空間で物体に当たった事など今まであった試しは無い。というか、当たったとしてもこんな柔らかい感触になるのはおかしい。私は直ぐにその物体を見ようと頭を上げると……
そこには、それはそれは可愛いカボチャパンツを穿いたお尻があった。
もう一回。そこには、それはそれは可愛いカボチャパンツを穿いたお尻があった……だぁ?
「あや~~~?どなたのもしもし~~~?」
「え、え?いや、あの」
「あ~~~っ♪やっとみっけたの~~~♪」
「わわわわっ!!?」
それは子供らしく純粋無垢な声と共に私の顔を確認すると、直ぐに抱き着いて頬擦りしてきた。私は反射的にそれを抱き締め返してしまったのだけれど、余りの感触の良さと甘く優しい匂いに思考が蕩けそうになった。
しかしこの……なんだこの子?頭ピンク色だし、アホ毛が物理法則に逆らってるし、背中に透き通った羽があるし。そして何より、愛らしいってレベルではない。何がどうなったらこんな不思議生物が出来上がるのだろうか。間違いなく人間じゃないのは確定だろう。
それに、この子今私を「やっとみつけた」と言った。という事は、ずっと私は探されていた?私の事を知っている?
「貴方は誰?何故私を探していたの?もしかして神ってやつ?この呪い解けない?もしくは今すぐ魂を消滅して頂けない?」
「これあげる~~♪」
「全無視ですかそうですか。って何入れてんの!?入ったよ!?身体の中にスイっと得体の知れな――――何かそのまま身体の中上がってきたんだけど!?」
「ぷれぜんとふぉーゆー……ふぉーえばー?」
「のーせんきゅーっ!!あ、ちょっ眼が、眼っっがーーーーーッ!!!」
「ありゃ~~」
幼女は私に何か凄い白く白光する玉を押し付けてきたと思ったら、そのまま玉は私の胸の中に吸収される様に入ってしまい、今度は私の身体が発光し始める。何もかもが突然で、意味不明で、不可解だ。しかもそれが頭まで移動して眼まで『ビガーッ!!』と発光し始めるのだからてんやわんやである。
同時に意識が何かに引っ張られる感覚。これは知っている。次の転生先が決まった時になる現象だ。こんなイレギュラーな事があったのに、結局また元の木阿弥!?
「どういうこと!?説明を!!何でも良いから説明を!!」
「あでゅ~~~~♪」
「自由過ぎませんかちょっとぉぉぉおおおお~~~~~!?!?!?もぉぉぉおおおぉおおぉおぉぉぉぉぉ…………」
その幼女は私の意識が途切れる直前まで、嬉しそうに手を振りながら見送り、私はそれを何故だか悲しい気持ちを抱えて……眠りに付いた。