元ハムちゃんですが大人なおっさんに優しくしてもらいました。
「あの、このSTRっていうのは皆さんどれくらいなんですか?」
「そうですね・・100あったらそれなりに強くて120あればもうその面では苦労しないくらいですね。」
つまり俺の80ってのはちょっと弱いくらいなのか。
「じゃあ、このSPDってのはどうなんですか?なんかカンストしてるみたいですが」
まずはこれだよな。
どう見ても正常じゃない。さっきのおっさんの反応からしても頷ける。
「すみません。私もこのようなのは見たことがなくて・・」
でしょうね。明らかに異常ですしお寿司。
「とりあえず、測定は済んだので先に冒険証だけ発行してしまいますね。
今作ってきますので少々お待ちください。」
そう言っておっさんは別の部屋へと行ってしまった。
しかし、本当にあのステータス。
素早さとメンタルがずば抜けていて、運は不明。
良くわからないけど、これがルナの言っていた才能の力なのだと言うのなら信じられる。
でもまぁ、
5分位したところでおっさんが戻ってきた。
「お待たせしました。これがミナトさんの冒険証になります。
これがミナトさんの力量、名声、立場や役職といったあらゆる情報の証明になりますので無くさないよう注意してくださいね。」
なるほど、なんとなく予想はしていたが身分証明証のようなものか。
「ありがとうございます!」
俺はおっさんから冒険証を受け取り、礼を告げた。
「それと、ミナトさん。一つ相談なんですが」
「なんでしょうか?」
「ミナトさんのステータスを活かして私のギルドに所属していただけないでしょうか?」
思いもよらない勧誘が来てしまった。
当初の予定ではここで装備を受け取ってニダバの森へと急行。
そこで他の能力者さんたちと合流 って感じだったんだけど・・
「すみません。ちょっと急いでるのでそういうのは後でも大丈夫ですか?」
ここまで良くして頂いたのに申し訳ないなと思いつつそう言った。
「あぁ!すみません。ミナトさんの心の準備が整ったらまた来てください。」
なんて優しいんだろうか。これぞ大人の対応だな。
ハムちゃん扱いされていた地球にいたころとは大違いだ。
あのときはコレクト品収集のために寝る間も惜しんでたんだっけ。
それを周りから叩かれ、笑いものにされ、時には悲しい眼差しでも見られたな。
まぁ、今となっては過去の産物でしか無いわけだが。
「そしたらこれが初心者用の装備一式ですね。」
おっさんが出してきたのは金属の胸当てと肘、膝のプロテクター。そして鉄製の500mlペットボトルくらいの長さのナイフだ。もちろん太さはペットボトルではなく普通にナイフなのだが。
「ありがとう。」
おっさんの用意してくれた別室で装備を身に着けた俺はおっさんに感謝を告げた。
よし、これで準備は整った。
少し遅くなってしまったが今からでもきっと間に合うだろう。
そんなことを思いながら俺はニダバの森へと向かった。