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異世界転生したら、東西南北がわからなくなっていました。

さて、と。

思いの外サクッと異世界転生をしたわけなんだが

まぁ、ゲームはできないよな。ゲームの才能だったらまた引きこも・・じゃなくてそれを本職にしようと思っていたのだが。


今、家の中にいるのだけれど、そこにあるのはシングルサイズのベッドと勉強机くらいのテーブルと椅子。それと、中身はまだ見ていないが麻袋がある。


とりあえず、俺は麻袋の中身を確認する。


中にはマトリョーシカのように小さい麻袋と手紙が入っていた。


{この手紙を読んでいるころには意識もはっきりしている頃だろう。

ミナト、君にはこの街の東にあるニダバの森というところに向かってほしい。

他の現実から来た能力者とはそこで集合することになっている。}


おそらくルナからの手紙だろう。

ふむ。とりあえず俺は東の森に向かえばいいんだな。


ここにずっといても退屈なので俺は家から出ることにした。



5年ぶりに浴びる太陽の光は長年引きこもっていた俺の身体に染みた。

といってもここは地球とは違うんだが。


地球と違う、はずなのに太陽の感じは地球のものとそう変わりなかった。



ところで、東ってどっちだ。


ゲームの中では方向感覚がいいほうだと思っていたのだが

それはあくまでも“ゲームの中”での話だったようだ。

だからといって、俺の少ないコミュ力では通りかかる人に「東ってどっちですか?」なんて質問が出来るわけがない。


いや、出来るぞ。

東西南北が分からなかったことが衝撃的すぎて忘れていたが

ニダバの森とかいう場所を教えてもらえばそれで解決だ。


そんな風なことを一人脳内で語っていると

ちょうどいいところにルナくらいの年の女の子が通りかかった。


「あ、あにょ!・・・はせよ」


女の子は一瞬だけ振り向いてくれたが、すぐに向き直りスタスタと去っていってしまった。



やらかした。完全にやらかした。

異世界転生して第一声目がアニョハセヨはないだろ。


い、いや別に噛んだわけじゃ。ないんだからね!


なんてことも脳内では言えるんだけどな。

妄想でコミュ力を鍛えるなんてのは効果がないのかもしれない。



「おい、にーちゃん。暗い顔してどうした。」


突然、背丈と同じくらいの大きさの斧を担いだ中年、見た感じ40とかそのくらいのおっさんが話しかけてきた。


「ニダバの森に行きたいんですが、迷ってしまって」


「あぁ、ニダバか。お前町中で迷うって大丈夫か?」

仰る通りですとしか言いようがない。


「ニダバに行きたいならここを左に曲がって真っ直ぐだ。

なんならここからでも見えるだろ。ほら、あそこがニダバだ。」


近っ。多分2kmも無いであろう距離にその森はあった。


「しかしよぉ、にいちゃん。いくらなんでもその装備で森に行くのは無謀だと思うぜ。」

言われて自分の体を見てみた。

よれよれのTシャツにジャージのズボン。

いつも通りの装備ふくそうをしていた。


「とりあえず、ギルドにいけ。

そこで初心者用の装備を貰うだけで大分変わる。」



ギルド。その名前を聞いて俺は嬉々とした。

やっぱ異世界はこうでなくっちゃな。


「分かるとは思うが、ギルドはこの街の中心部にある。」

そう言って振り返ったおっさんは、大通りの方を指差して続けた


「そこを真っ直ぐ進んで行けばデカイのがあるから。

まぁ、行けばわかる。絶対に装備は整えてから行くんだぞ。」


「ありがとう。恩に着るよおっさん。」


好感を持てたからか、俺はスラスラと礼を言えた。

とりあえず、おっさんの言うとおりギルドに行くか。


おっさんと別れた俺は早速、街の大通りを歩いていた。

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