ニャルって誰よ?
湿っぽい。不愉快だ。
あの人が早く来ないかな。
此処から出してくれないかな。
早く会いたいな、ニャル。
地図の奴隷の部屋を見に行くことにした。奴隷と言う響きは嫌いだ。道徳的でない。
さっき血を飲んでから体に異変が起きている。私の70代の体がまるで25歳の青年のように軽々と動くのだ。しかも、もう剃ったはずの頭から黒々した髪が生えてきたのだ。鏡が見たい。無性に顔が気になる。
奴隷の部屋には錆びた鍵がかかっていた。脆かったので、引きちぎった。
今更ながら思ったが、いくら脆かったと言えど鎖を手で引きちぎったのは考えられない。
部屋の中は、暗闇だった。普通の人間なら先が見えないほどだが、今の私には昼間のようによく見えた。
そこには、猫耳と尻尾の生えた一人の少女と軍人の死体、メモがあった。
少女と目があった瞬間、涙を流しながら抱き付かれた。
私のニャルだ。やっと来た。大好き。
なんか、テレパシーの様なものが聞こえた。
とりあえず、そのままで質問をした。
『君の名前は?』 『…』
『何時から此処にいる?』『…』
他にも幾つかの質問をしたが反応はない。
呼びにくいのでなまえを着けることにした。白い耳に髪の毛、尻尾…ディズニーの映画でみたあの猫の名前にしよう。
『私が君に名前をあげよう。君の名前はマリーだ。』
名前、くれた、ニャル、やさしい。
また何か聞こえた。