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人生航路  作者: 智楼
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過去の思い出

早くも正月から半月が過ぎ、思えば面白くもなければ楽しくも何もない正月であった。

親子三人で正月らしくもなく過ぎてしまったが、唯一、正月らしい事をしたと言えば、子供達にお年玉を上げたくらいなものだ。

「おい!お前達、ほらお年玉なくすなよ」

『やったーありがとう』

真由美は、お金の価値が分からないから、余り反応がないが、浩一は一人、袋の中を覗いては喜んでいた。

その内、お年玉袋がほったらかしになってるのを見つけ、それは貯金しておこう。

正月に子供達をどこへも連れて行く事が出来なかった事が悲しく思える。

すまない!もう少しの間 我慢してくれ。

せっかくの日曜日だと言うのに・・・

『パパー遊園地に行きたい』

『まゆもいきたーい』

「分かった、また今度な!」

今は、どこも連れて行く余裕がないし、このワンパクな二人、私の手には負えない。

困ったものだ・・・

でも、毎日 元気で遊んでいるのを見ていると、悲しみも苦しみもどこかへ消えて行くようだ。

このままの状態がいつまで続くのか?

もし母が帰ってしまったらどうすれば良いのか?

二人の子供達と別れる日が、一日一日 近くなっているような気がして考えるだけで恐ろしくなる。

もう、人生の楽しみ、喜びは来ないかもしれない。ただ生きていて、その日、その日を過ごして行くだけと言った方が正しい。

完全に弱気になっている。

早く、十年、二十年過ぎないかなー。仕事の不安より、家での不安が大きい、まして子供達が幼いし、男手一つ育てて行く事は出来るのだろうか?

今、子供達は外で元気に遊び、一人家の中で静かに過去を思う、そして、これからの事を考えていた。

「あー高校時代のあの頃が懐かしい、初めての高校、新しい制服を着て浮かれていた時の事、まるで2~3年前のように思えてならない 今考えると海上自衛隊に入隊した時 始めて着たセーラー服の事、その時と同じように思える、あの時、自分の将来がこんな事になるなんて思っても見なかった」

もし人生の先が見えてたなら・・・と考える

ある人は「人生は一寸先は闇だから面白い」と言っていたが確かにそうかもしれない。

艦隊勤務の時、このような苦しみが待っているとは思いもよらず青春時代を楽しんでいた。

青春時代の全てを海と船にかけ、これからも良い思い出として一生、私の胸から消える事はない。

やがて結婚し、八年間、妻と子供を中心に生きてきた。一生懸命やり、妻の事を思い、子供達の事を思い、自分は二の次に考えてきたのに、妻に裏切られたその日から、地獄の一丁目に立たされる事になるとは・・・

最近の新聞で、妻殺し、子供殺しと毎日のように報じられる。

きっと自分と同じ人生だったのでは、その犯人の気持ちが分かるような気がした。

外国人の誰だったかこんな事を言っていた。

「人生、不幸のなかに居ると その人は哲学者になれる」とか・・・・・


[日が暮れて 寂しさせまるこの胸に 遊び疲れて寝る子かな]

あー寒さ身にしみる。




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