孤児院からのお願い
来年三月には子供達が帰って来る。
上手くやって行けるかどうか少し不安はあるけれど一生懸命やれば、浩一も真由美も分かってもらえると思う。
父親一人では、この二人の子供達、不自由な思いもするだろうけど、きっと分かってくれるだろう。
今更だが・・・数年前のこんな事があったのを思いだした。
気持ちでは、一ヶ月にニ・三回は孤児院に行き子供達と面会したかった。
しかし、ある時。
♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪
「はい、I・V院です」
「もしもし佐山ですが、外泊許可を取りたいのですが」
「佐山さん、申し訳けないのですが、他の子供達の手前、外泊や面会を少し考えて下さい」
「それは、どう言う意味ですか?」
「実は、孤児院に入って来た子で一度も面会に来られない親御さんが何人かいらっしゃいましてお父さんが会いに来てくださる事はとても良い事なのですが、会いに来られない他の児童がやきもち妬いてしまいまして、夜になると泣いてる子もいるんですよ」
親の都合は仕方がないが・・・
「あーそうですかぁ、そうですよね 話しはよーく分かりました、以後気を付けるようにしますので」
「本当に申し訳ございませんねぇ」
孤児院の方から、そう言われてしまったが私は納得した
確かに、最初の頃は、大体時間の許すかぎり日曜日には子供達に会いに行っていた。
でも私にはそんな事よりも、今週の日曜日に行こうか、来週の日曜日にしようか、次の連休は外泊許可取ろうか毎日のように考えていた。
浩一・真由美は本当に良い子だ。父の心を良く掴んでいる。
特に浩一は良い子になった、浩一の手紙には、みんなに追い付くように勉強を頑張っていると書いてあった。
私は、親として0点だが0点の親でも、このような素晴らしい事を書いてよこす子供が居る。
勉強に対して真由美は心配する事がない。頭の良い子であるから何も言わなくても心を読み取ってしまうほど、するどい子だ。
子供達から手紙が来ていたが返事が出せなかった、いつかこの記を読む日が来ると思う、だからここで返事を書く




