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人生航路  作者: 智楼
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孤児院の運動会③

五日、運動会の前日、浩一・真由美に上げるプレゼントを買いに行き明日が来るのを待っていた。


今日は一日中、具合が悪く、夜中に起きて薬を飲み明日に備え・・・

当日。

朝起きると、体の具合も少しラクになっていた、これなら子供達の運動会に行ける。

朝六時半、いつものように車を走らせる。孤児院に着いた時、開会式がこれから始まるところ。


「只今より開会式が始まります。見にきていらっしゃる親御さん方も是非一緒に参加して下さい」

孤児院の校庭にアナウンスが響いていた。

私も、後ろの方に並ぶ事にしたが、目は、浩一・真由美を探していた。子供達はみんな同じ体操着を着ているから直ぐ見つける事は出来ずキョロキョロしたが、やっとの思いで浩一を見つけ、小さな真由美は前の方に居て二人の子供達と目が合った時は「ニッコリ」してくれた。

式が終わり。

『パパーパパー』

真由美が一番に走ってきて抱き付いてくるなんて可愛い娘。浩一も走って来た。

「浩一も真由美も、お父さん見てるから頑張ってね」

返事はなかったが、Vサインが返ってきたから、私もVサインを返した。これが親子だと思った。


栃木の山は汚れを知らないように美しく、空気は澄み、雲一つない日本晴れ。

浩一・真由美を見ていると、本当に二人の子供達の父親で良かった。今は別々に生活しているが、もう少しすると三人で一緒に生活をする。

その時は、苦しい時、悲しい時、何でも三人で話し合い、これからの人生を送って行く事が、たった一つの生き甲斐だ。もし私一人だったら、このような運動会に出る事もないだろう。

一生懸命働く事もないだろう。

二人の愛児の成長を見る事がたった一つの楽しみ、今、二人の子供達が居なかったら本当に寂しい人生を送っていたかもしれない。

子供達のために一日も早く一緒に生活し、そして大人になった時、浩一は一人前の男として私の傍を離れて行くだろう。

真由美も素敵な人と一緒になり幸せになってくれる事が、私の望みであり、そうしてほしい。

浩一・真由美の不幸な姿は見たくない・・・


運動会も色々な競技があった。

浩一のクラス・・・一位

真由美のクラス・・二位

いっぱい活躍してくれた二人の子供達、本当に嬉しい。





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