浩一の誕生日
今日は、浩一、十一歳の誕生日。
我が子の誕生日だと言うのに祝う事も出来ず、日曜日だと言うのに仕事に出た。
朝起きたら浩一に祝電を送ろうと思っていたが、今日に限って寝坊し、急いでトラックに乗り仕事へ。
今日は本当に変な一日だった。
仕事先の現場に着くと、そこの所長がニ・三人で酒に酔い、私が着いた時もみんな酔っ払っていた。
次の現場へ行って仕事が終わった時、隣のビルが火事になり大変な騒ぎになっていた。
次の現場は、ゲーバーで荷物を積んで一緒に乗ったのがオカマ、こんな人、初めてでビックリ。
荷物を降ろしても「少し遊んで行け」「お金をあげるよ」こんな事を言われ、やっとの思いでそこから逃げ出した。
本当に今日は面白い一日だった。
仕事が終わり、家に着いて、ふと子供達の事を思ったら「いけない、浩一に祝電打つの忘れた!」
急いで祝電を打とうと電話をしたが、今からだとPM九時を過ぎると言われ諦めた。
毎年、浩一の誕生日には祝電を打つのに、今日に限って寝坊したり、現場で色々な事があり浩一の誕生日を忘れてしまった。
きっと、浩一は待っていただろう。浩一の気持ちを考えると胸が痛い、浩一本当にすまない。
愛する子供達、今頃、何をしているかな?
お前達の所へ面会に行けない日は必ず仕事をしている。一日も早く一緒に生活出来るようにと思っている。
浩一が中学一年生、真由美が五年生になった時、必ず一緒に暮らそう。
そう信じて毎日、頑張っているよ。
十月五日孤児院の運動会は絶対に行く。
浩一にはプラモデル、真由美にはぬいぐるみを買って行こうと今から計画を経てていた。




