浩一のイタズラ
六月に入り毎日 雨ばかり降っていた。
六月二十九日 16:00
♪トゥルルルル♪
『あ、もしもしお父さん? またあとでかける』
浩一からそれだけ言い、一方的に切れた。
どうして、どこから電話してきたのか分からないまま・・・
♪チーンチリチリチリチーン♪
浩一から二度目の電話
『もしもし、お父さん後でさぁ 6時頃に電話してきて』
そして、また切れた。
浩一、いったいどうしたんだ?
夜の6時になった。
施設に電話をかける
「はい、I・V院です」
「もしもし佐山浩一の父ですが、忙しいところ申し訳ないでが浩一お願いできますか?」
「はい、申し訳ございません只今、児童達は夕ご飯の時間ですので、もう少ししたら大丈夫だと思いますよ」
「あーそうですか、分かりました、また後に掛け直しします 失礼します」
結局、浩一と話す事が出来ず、その夜、ずっと考えていてウトウトしながらも寝付けず朝になった。
起きると雨が降っていて仕事に行く気にならなかったが、仕事を休む訳にはいかず車に乗り会社へ向かった。
雨の中、仕事も順調に終わり夕方6時前に家に着いた。
まだ外は明るい、近所の子供達の楽しそうな声がする。この声に混じって浩一・真由美の声がしたような気がした。
浩一・真由美、ご飯だよー。元気で明るい二人の子供達を、そのように例え心の中で思って、これが本当だったらどんなに嬉しいか。
そんな事を考えていたら昨日の浩一の電話が気になって・・・20:00時過ぎてしまったが。
♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪
「はい、I・V院です」
「もしもし佐山ですが、浩一お願いします」
「あっはいはい、少々お待ち下さい」
・・・・・・・・・・・
『もしもしお父さんどうしたの?』
「昨日六時に電話してって言うから電話したんだぞ、何かあったのか?」
『別に何でもないよ。お父さんに電話してって言ったら本当に電話してくるかなと思って、ただそれだけだよ。僕のイタズラだよ』
「そうだったのかぁ びっくりさせて親をからかうんじゃないよー で、二人とも元気でやってんのか?」
『うん 二人とも元気だよ』
浩一とそんなような話しを少しして電話を切った。何事もなく良かった。
再来年までには、我が愛児と一緒に生活しようと考える。少し無理な点もあるが、子供達のために少しくらいの無理は仕方がない。
イヤ!私には出来る。生命が短くなろうとかまわない。この二人の愛児と一緒に居る時が一番幸せを感じる。
今でも思う。
子供達の所へ毎日毎日電話出来たらと、けれど毎日電話したら孤児院の方に煩く思われ、浩一・真由美に迷惑かかるのではないかと・・・
子供達の事を考えていると、寂しくて、心が悲しくなってしまう。
今頃、二人の子供達は何をしているのだろうか?
イタズラして怒られて泣いてはいないだろうか?
浩一は、お父さんに怒られてもお家がいいと言う。
浩一・真由美 お前達の幸せを願う。
少しくらいの辛い事、悲しい事、苦しい事に打ち勝って、この世の中を生きて行け。
悲しみ、苦しみが沢山あればあるほど、小さな幸せが大きな幸せになるものだ。
少しくらいの悲しみ、苦しみに負けてしまえば、この世の中を渡って行く事は出来ない。
若い時はいいが、年を取ってから気が付いても遅い。
浩一・真由美 言っている事 分かるか?
とにかく、早く言えば、良い悪いの区別を自分で付けられるようになってくれ。




