子供達の母親
苦しさ、悲しさに耐えると言う事は、人間にとって一番大切な事。
この世の中の人々、全てではないが、苦しさ、悲しさに、思うようにならない事に戦って生きている。
徳川家康の言葉に・・・
〔人の人生は重荷背負うて遠き道を行くが如し〕
と、あるが、本当だと思う。
この年になって人生のやり直しは出来ない。
自分の人生が、自分の目が誤ったばかりに、不幸で取り返しのつかない人間を二人も作った。
これからの人生、死に返しても、この三年間、浩一・真由美に対する気持ちは変える事が出来ない。
私の目が狂ったとしても、子供達の母親を許す事が出来ない。子供達の事を少しでも心配してくれるなら、
母親らしい女なら私は許し、このような事は思わなかった。
しかし、心配するどころか、私を馬鹿にし、酒を飲んでは大きな声で笑い、男と居る時に平気で電話をしてくる。
このような女を、母親にした事が悪かった。
女として、母親としてゼロの女を妻にした私が一番悪いのかもしれない。
浩一・真由美 この父の言う事を聞いてくれ!
失敗し、終わってしまった事は仕方がない。
これから、少しでも早く努力して、親子三人で協力して明るい家庭を作り、会った時にはニコニコと話し合う事の出来る関係でいよう。
父の決心が付くまで、もう少し我慢してくれ。
今、お前達を引き取っても、上手くやっていけるか不安で仕方がない。いつまでもこのままと言う訳にはいかない。
この二・三日、お前達の事を思うと泣きたくなる。
でも、泣いていても見てる者は居ない。
家に帰っても、仕事をしている時も、いつも一人、今日も一人、明日も一人だ。
一日の仕事が終わり暗い我が家に着く、鍵を開け、部屋に入り、手探りで電気を点ける。
回りの家は明るく、美味しそうな匂いがするが、我が家は暗くカビの匂いがする。一日中、部屋を締めっきりにするのだから仕方がない。
浩一・真由美
〔自分の思う道 一筋に進め 横道にそれるな きっと良い事がある〕




