ウソ!
浩一・真由美に会いたい。最愛の子供達に会いたくて心が落ち付かぬまま会社に着いた。
トラック乗る前に、仲間といつも話し込んでしまう。
「子供さん元気で居るか?」
子供達の事を聞かれると嬉しくて、嬉しくて、孤児院に預けてるとは言えず。
「パパ、お帰りと言って俺のホッペにチューしてくるんだよ」
「可愛いお子さんじゃないか!」
「そうすると、一日の仕事の疲れも吹っ飛ぶよ」
「羨ましいな、うちは大きいからそんな事してくれないよ!」
心の中では悲しいが、現実と事実を話していたなら良かったのだが・・・
もう仲間に嘘をつくのは止めよう。仲間に話した直後に寂しさが心の中を通り過ぎて行った。
私の、家族から新しい奥さんをもらって二人の子供達と一緒に生活したら、と言う話しが二・三度あったが、妻は一人で沢山、浩一・真由美の母親も一人で良い。
私は、妻を愛し、子供達を愛している。
浩一・真由美の母親は由美子じゃなきゃダメだし、私の妻も、この世の中で、由美子一人で良い。
しかし、一人で生活していると、悲しさに勝つことが出来ない。
子供達の事を考え、少しでも良い父親でありたいと思うから、この辛さに耐えている。
あー浩一・真由美に会いたい。
真由美を抱っこしながらコタツに入り、浩一と沢山、話しをして、皆で食事、テレビを観たり楽しいだろうなー。
もう子供達は寝る時間、ベッドに入った事だろう。
病気などしないで元気に毎日を過ごしてくれ。
浩一・真由美と一緒に生活出来る日を首を長くして待っている。それまでは余計な事は考えない。
子供達の事、そして仕事の事だけを考え生きて行く。
少しでも人間らしく、父親らしく、短い人生を送りたいと思った。
これから良い事が起きる事を祈らずにはいられない。
もう直ぐ、浩一・四年生 真由美・二年生、お前達のために出来る限りの事をする。これが父親の務めかもしれない。一生懸命働いて、少しでも最愛の子供達のためになるなら本望だ。
今日は日曜日、子供達の所へ行こうと数日前から予定をしていたが、二日前から風邪をひき今日は家に居た。
子供達の所に行けないのならせめて電話でもと思い受話器を取り・・・
♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪
「はい I・V院です」
「あ、もしもし、佐山ですが、いつもお世話になってます。浩一、真由美と少し話しをしたいのですが二人は居ますか?」
「申し訳ございません今日は、児童全員、日光へ遠足行っております」
「あー遠足ですかぁ 分かりました それではまた、かけ直します」
残念 せっかく無理して行ったとしても、会う事が出来なかったらと思うと逆に電話で確認して良かった。




