またの電話
今日は疲れたので早めに床に就いた。
♪チーンチリチリチリチーン♪
時計を見ると、午前二時半、こんな時間に平気で電話してくるのは由美子くらいしかいない、眠たい目をこすりながら受話器を取った。
「もしもし」
「もしもし、あっ!私」
「こんな夜中にどうした?」
「寝てた?」
「当たり前じゃないか」
電話の向こうで、何人かと楽しそうに話をしてる声。
「ビールくれ!」「タバコ」誰か傍に居るらしく、こんな会話が聞こえてきた。
耳を澄まして聞いてると間違いなく男の声だ!
「由美子!そこに男が居るのか?」
「なに!やきもち妬いてるの?」
頭にきて直ぐ電話を切ってやった。
これが、浩一・真由美の母親かと、あんなに愛した女がこのようになっているとは考えてもいなかった。
まるで映画に出てくる飲み屋の女そっくりだ。
もう二度と電話は欲しくない。
浩一・真由美、二人の子供は私のものだ。
しかし、子供達の事を思うと、父親である事が恥ずかしいような気がした。
何故なら・・・
無力な男・だらしない男・自分自身を責めた。
あれから三年!
今日と言う今日は、絶対に忘れる事が出来ない日。
最愛の妻・由美子が私の所を離れて行った日!
朝から夜まで泣き、自分を忘れ、何を考え何を思っていたのか今でも分からない。あの時は、死人のように目の前が真っ暗だった事だろう。
もう、あれから三年の月日が流れて行った。
可愛い二人の子供達が、人の手によって育てられていくと言う事が、とても辛く、苦しい事である。
子供達と離れ、妻と離れたその日から、仕事もロクにせず毎日 酒・酒・酒
しかし、このままではいけないと思ったのは最近である。
今は、仕事をして金を稼ぐ事、そして、これから先の事を考え、浩一・真由美のために家を建てて、そこから真由美をお嫁に出したいと思い仕事をしている。
もう、家では酒を飲まない、外でも殆んど飲まないと決めた。
祭日、日曜日も、二人の子供達 浩一・真由美の所に会いに行く時だけしか仕事は休まない。
今、考えるのが、愛する子供達が離れて人の手によって育てられていると言うのに、一人で飲んだくれていられるものか。




