真由美の入学式
新学期が始まり、浩一は三年生になった。
四月十一日、今日は真由美の入学式 新一年生だ!
昨晩は寝る事が出来ず、四時に起きたが朝食も取らずに、一路、二人の愛児 浩一・真由美が居る孤児院へと車を走らせた。
出来る事なら、ここの家から真由美を入学させてあげたかった。それが私にとって一番悲しい事。
由美子から電話も来ず、子供達の事を心配しているのだろうか?
心配しているなら電話くらいよこしてもいいはず。何でもない日の真夜中に電話をかけてくる気持ちが分からない。そんな事を考えているうちに車は孤児院に着いた。
真由美は孤児院の玄関で待って居た。
車が着くと直ぐ走ってきて抱き付いてくる。
『パパー』
「真由美、綺麗な洋服 着てるな」
『先生が、お洋服 着せてくれたんだよ』
「そうか、良かったな」
『うん』
来るたび重たくなる真由美、孤児院で用意してくれた、綺麗な洋服を身に付け、新しい靴を履き、髪の毛も整えてあった。
学校は孤児院の直ぐそば、浩一の運動会で行った事あるから真由美も知っている。
浩一は孤児院の門の前で通学する所だった。
『パパー、今日は真由美の入学式だね』
「そうだよ」
『パパの洋服カッコいいね』
「おーそうか!」
浩一にそんな事を言われると少し照れくさい。
『じゃ、僕 学校行くね』
「気をつけろよ」
少し話をして先に学校へ行ってしまった。
「真由美、そろそろ行こうか?」
『うん』
真由美の手を取り、学校まで十分ほど歩き着いた。
新一年生・大きなランドセルを背負い、綺麗に着飾った洋服、新しいピカピカの靴、可愛い一年生が沢山居た。
私は、子供達の入学式に参加するのは、これで二度目、緊張したが、前ほどでもない。
やっぱり母親と来る子が多いと思ったが、今回は父親と来てる子を見て、何故かホッとした。
入学式も無事に終わり、二人の子供達に別れを告げ我が家に一人帰って来た。
入学式が終わって二ヶ月後・・・
六月三日~五日、最愛の子供達と一緒に過ごすと決めていた。
三日の朝、孤児院へ車を走らせた。浩一・真由美に会うのは二ヶ月ぶり。
この時の気持ちは、子供達に会いたくて、会いたくての一心で、あとの事も考えず仕事を休んでしまった。子供達のためなら、仕事も金、この命などいらない。
誰の子でもない!私一人の子供だ。




