電話
子供達の事を思いアルバムを引っ張り出し見ていた。
♪チーンチリチリチリチーン♪
電話が鳴る 「もしもし」
「あ、もしもし私、明日もう一度、電話をする」
由美子からだ 「・・・・・・」
それだけ言って一方的に切れた。
由美子は、いったい何を考えているのだ。
次の日の朝
♪チーンチリチリチリチーン♪
由美子からだとすぐ分かった。
「もしもし」
「もしもし、私、子供達の事なんだけど・・・」
私は、内心 期待をしたが。
「子供達が何だ?」
「浩一か真由美どちらか一人引き取りたいと思っている」
その一言に言葉を失った。
不幸な子供達、浩一・真由美が幸せになるなら、どんな無理も聞くつもりだった。
「二人を離して別々にさせる事は出来ない」
そう伝えると急に電話が切れた。
この電話で、由美子の頭の程度が分かった。
本当に、二人の子供達の事を思っているなら電話じゃなく直接会って話し合わないだろうか?
由美子が二人の子供達を引き取る前に子供の幸せを、もう少し考えてくれればいいのに。
由美子が帰って来て、子供達が帰って来てさえすれば、どんな努力も惜しまない、むしろ、そのためにこの命を落とす事があってもかまわないと思っている。
今日は仕事に行く気がしない何故か気持ちが沈んでいた。
浩一・真由美に上げたお年玉、孤児院に持っていかせる訳にもいかないから、銀行の定期に少しプラスして預けてきた。この金が子供達に何かの足しになればと思い貯金した。
夕方、家に帰るが我が家は真っ暗、ドアを開けると寒い風が漂っている。
毎日、毎日一人、今日も一人、明日も一人だろう。一人で居る時が死ぬより辛い。
あんなに楽しかった日々を思い出すと何だか悪い夢を見ているようだ、しかし、これが現実だと知ると悲しみが込み上げてくる。
いったい、どうしてこのような事になり、このような酷い目に合うのだろう?
毎日、面白くもないし、可笑しくもない、何でもない毎日、一人で起きて一人で寝る。
せめて子供達だけでも傍に居てくれたら、子供達はどんどん成長していくが、私はだんだん年を取っていく。
子供達は、この親の事を何と思うのだろうか?
浩一と真由美と一緒に生活する事に対して努力してきたけれど、お前達の母親は馬鹿にして相手にしてくれなかった。
ダメだと知った時、目から涙がこぼれ、悲しくて、悲しくて何とも例えようのないものが胸の中を通り過ぎて行くのが分かった。
その姿は、だらしなく、カッコ悪い姿だっただろう。
しかし、お前達と生活出来るようにこれからも努力する。
もう、お前達の母親の事は無理かもしれないが、その無理を乗り越えて、第二・第三の人生を考える。
お前達を第一に考え、明日も明後日もトラックを運転する。
第一目標は、東京の空の下 元気にトラックで走る姿を子供達に見せたい、
お前達と一緒に楽しい時、苦しい時、全て分かち合いたい。




