年末年始②
十二月三十日、子供達を迎えに行った。
久しぶりに親子三人、我が家に、これと言って何の予定はないものの子供達が居てくれるだけで家の中が賑やかで楽しい。
大晦日の朝
♪トゥルルルル♪トゥルルルル♪
「もしもし」
「もしもし、金沢だけどご無沙汰さ~ん」
「おお~金沢かぁ、随分と久しぶりだな!元気してたかぁ?」
「元気してた、してた、ところで今、子供達は帰って来てるんだろ?」
「あー昨日 帰って来た」
「そうか、ちょうど良かった、もし良かったら、みんな一緒に来ないか?家で年、越そうぜ」
「大勢で行ったら迷惑だよ~」
「お前が気使うかぁ?まぁ、とにかく夕方来いよ、待ってんぞぉ」
「おおおぅ、分かった行くよ、また後でな!」
夕方になり、悪いと思ったが三人でお邪魔する事にした。
奥さんも嫌な顔せず迎えてくれ、口には出さないが金沢に感謝、もちろん奥さんにも感謝した。
大晦日は奥さんの手料理をご馳走になり子供達も沢山 食べた。
いよいよ!正月 五十三年度の年が明けた。
浩一と真由美の顔を見ていたら心が痛くなる思いだ、辛い日々を送っているのかと思うと泣きたくなる。
今年はどうしようかと考えるが、まとまらず・・・・・
元旦 お昼近く近所にお参りできる神社があると言うのでみんな揃って初詣へと出掛ける 外で食事をしたり散歩など正月らしくなった 子供達も嬉しそうで私も今は何も言う事がない。金沢には本当に世話になった。特に奥さんが本当に良くしてくれた。そして、夕方になり金沢夫婦に
「本当に迷惑かけた、ありがとな」
「なんのなんのこれしき」
などとおちゃらけ話しを数分した後、金沢宅を後にした。
そして二人の子供達と我が家に帰って来た、今年初めての自宅。
誰からも電話なし、悲しい正月、子供達は顔に出さず家に帰って来た事が嬉しいのか二人で楽しそうに遊んでいる。
三日、私の実家に子供達を連れ新年の挨拶に出かけた。兄家族も来ていて実家は賑やか。兄に会うのも久しぶりである。
「お前達、集まれお年玉だぞ!」
『わーーーい!やったー』
子供達は、みんなからお年玉を貰い嬉しそうに自慢してくる。
『これから、お年玉持ってデパートの屋上にあるゲームコーナーに遊びに行ってもいい?』
「いいけど、浩一と真由美は、千円だけ持って行け!」
『分かった』
一方、兄の子供は・・・
『僕、お年玉 自分で持っていたいから全部持って行く!』
「落としたら大変だから少しだけにしろ!」
『イヤだ!置いて行くと心配だから自分で持てる』
そう言って聞かず全額持って出かけてしまった。
しばらくすると兄の子供が一人で泣きながら帰って来た。
「どうした?」
『お年玉 全部 落とした』
「だから言ったじゃないか」
兄に怒られてるのを見て、私は笑いをこらえていた。
少しすると浩一と真由美が帰って来た。
一応、大人達でそこのお店に探しに行ったのだが見つからなかった 当然である。見てるとかわいそうなので私達、大人で千円ずつ出しあって渡した。
楽しい時間はあっという間に過ぎて行く、出来る限りの事を子供達にした。
一月七日 今日は子供達を孤児院に送って行かなければならない。
「お前達、そろそろ準備しろ」
『帰りたくない』
『ずっと、お家に居たいよ』
「パパ、明日からまた仕事始まるんだよ」
何とか子供達を説得させた。
このまま三人で死ぬ事も考え、しかし子供達の顔を見ているとそれも出来ない。
口には出さないけど、不幸な子供達に何とか許してもらいたい。子供達と別れるのは死ぬより辛い。泣いて、泣いて涙がこぼれるが子供達が見ているかと思い必死でそれを隠した。
一日も早く、この子供達と一緒に生活したい。子供達が幸せになるなら、どうなってもかまわない。
二人の最愛の子供達、宝だ・・・命だ・・・全てだ・・・
いま子供達は、私の手から離れてしまった。これも、しっかりしていないからだ。しっかりさえしていれば、この子供達は親の傍で暮らせたのに・・・
浩一・真由美 許してくれ! だらしない父を許してくれ!
この父も一生懸命やっているつもり、子供のため、妻のため、けれど力が足りないから、お前達の母は姿を消した。これも全部、私が悪いのだ。
お前達の母は、良い悪いの区別が少し分からないだけだ。
お前達の母は、この世で一人しか居ない。
最愛の女性だ。
この気持ちが理解出来る知能があったなら、お前達も一緒に生活出来たけれど・・・これも仕方がない。




