母の病気
浩一・真由美の面倒を頼んで九ヶ月が過ぎたところだった。
「孝、最近 体の調子が良くなくて・・・病院に行こうかな」
「えっ!具合悪いの?大丈夫かおふくろ 」
「んーちょっと疲れが出たのかも知れないけど」
「そうかぁ じゃぁ医者に見てもらおっ」
「悪いね」
六月に入って、母の体の具合いが良くない、医者に見てもらった結果、軽い疲労だった。これ以上無理をさせてはいけないと思い、家に帰った方が良いと言った。 良いと言ったものの、これは何を意味してるのか?
起きてはほしくない事が起こった。
一大決心しなければならない。私一人ではこのような生活は送っていられない。
おふくろ 無理させてすまない。
一番 恐れていた事 ついに来る時が来た。
可愛い、愛に愛してる浩一・真由美と別れて生活しなければならない。
何とか二人の子供達と別れて生活する事だけは絶対に避けようと考え、努力してきたが、仕事をしながら子供達と生活するのは無理だと思った。
由美子は、子供達のところに帰る事を嫌い、子供達の事は考えたくないと言った。
こんな話ってあるのだろうか?
いったい由美子に何をしたと言うのだ?
妻・由美子が、この家を出ていった時の事を思い出した。
朝いつものように仕事、この日は浩一を一緒に仕事に連れて行き・・・
由美子が「浩一も一緒に連れて行って」と言った意味が初めて分かった。
一生懸命 働いて、その上、浩一を仕事に連れて行きその間に家出。
こんな事ってあるのだろうか?
由美子が家出してから今まで再度、帰って来る事を信じ、母にはもう少し、もう少しと言い聞かせてきたのだが。
由美子からの電話は、まるで人を馬鹿にし子供達の事になると愛情がないようで、まるで犬や猫のように言う。
二人の子供達が大きくなった時、きっと母親を慕うだろう、こんな薄情な母親でもお前達の母だもんな。仕方ないけど、あんな母親は慕わないでほしいと思った。
こんな寂しい、悲しい思いをさせ、その上 可愛い我が子まで捨てバーで働くなんて常識のない女である。
浩一・真由美には辛い親の気持ち分かってほしい。
十一月になったら、お前達と別々に生活しなければならない事は、とても悲しい。
死にたい・・・死にたい・・・
でも、絶対に死なない、生きて、きっとお前達と幸せに暮らせる日を信じてる。
子供達が大きくなった時、どのような姿で泣きながら決心したのか分かってほしい。
浩一・真由美 良く聞け!
自分の子供には、このような思いをさせないでくれ!
お前達二人のために、イヤ、二人と一緒に生活出来るように努力する。
働いて・・・働いて・・・
浩一が高校へ行く時 真由美が中学に行く時は、この家から通ってほしい。
由美子がお前達を捨てたのも、私がだらしないからだ。
許してくれ!二人の我が子 幸せ来たれ。