アーバン・スイーパーズ 「ダストシューター」05
このやり方が上手くないのは、どうしても「波風が立つ」ってことなの。
いい?ここ大事だから強調しておくけど、いじめ問題ってのは単なる子供同士の切った張ったじゃ済まないのね。
場合によっては、両親を始めとした周囲の状況を根こそぎ巻き込んでの「地域戦争」の様相を呈するの。
「やった」のか「やらなかった」のかを認めるかどうかで大違いになるから、いじめっ子がわの親がモンスターペアレントなら何が何でも認めないでしょ。
認めないだけならともかく、「いじめられるのはいじめられる側にも問題があった」というネガティブキャンペーンすら始めることもあるのね。
そうなれば「いじめられっ子」は「自分のせいで大勢に迷惑を掛けている」と余計に追い込まれて行くことになる。
それこそクソ田舎…失礼…うんこ田舎だと、有力者の機嫌を損ねたってんで親が失業したり、そのあおりで子供が殴られたりもしたみたい。いじめられてたってのに。
助かっても地獄、助からなくても地獄よ。偶然いじめられっ子と同じクラスに入れられたがためにね。
もしも違う地域の学校に通えたならば、今頃は素敵な異性の友達作って楽しくやってたかもしれないのに、今じゃ生き地獄。どうしてこうなったのか…。
これはあたしたちが万全を尽くして「解決」したとしてもどうにもならないの。
…あたしが現場に入る前のことなんでハッキリ分からないけど、どうやら今まで説明したみたいなやり方で「解決」したはずだったのに、余りにも変なことばかり起こるんで色眼鏡で見られる様になっちゃった「いじめられっ子」が結局精神を病んで自殺したことがあったらしいの。
要するに「不安要因を取り除く」ことも大事なんだけど「可能な限り波風を立てず」に「必要最小限の犠牲」でコンパクトに治める方針に転換してきたワケ。
ウチの組織の中の話し合いで出た結論は…「不安要因」は何と言っても「いじめっ子」であるという結論が出たのね。
え?当たり前?
そう簡単な結論でもないよ。何しろ「更生の機会を一切配慮せずに排除する」という結論が出たと言ってるんだからさ。
…あ?顔が怖かった?ゴメンゴメン。つい嬉しくて本気の顔になっちゃった。
そこで「三種類の段階処理法」が制定されたの。
通称「3番」の説明からするね。
ここで登場するのが我が「アーバン・スイーパーズ」が誇る実行処理部隊の中でも特別編成の「PWプレイヤーズ」よ!
「PWプレイヤーズ」ってのは「プロ・レスリング・プレイヤーズ」の略ね。
(続く)
*「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
いじめ復讐のための民兵組織。存在は厳重に秘匿されており、表立っては存在しないことになっている。
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【用語解説】
「アーバン・スイーパーズ」(都会の掃除屋)
非合法組織。
「皇法子」
現時点で不明。
「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
「アーバン・スイーパーズ」対いじめ部門。
「手紙部門」
「アーバン・スイーパーズ」の一部門。
「手紙作戦」
加害者に被害者(故人)を装った手紙を出し、精神的に追い込む。
生きている限り何十年でも続く。