アーバン・スイーパーズ 「ダストシューター」04
愈々(いよいよ)第四コース。
父親を襲います。
ポイントはいじめに於いて行われたことを再現することね。
「羽交い絞めにして殴打」とか「虫を食わせる」とかね。
ロマンスグレーの五十男がひーひー泣いて「助けてくれ」言うのは痛快だよ?
え?趣味が悪い?
悪いけど余り同情する気にはならないね。そいつのせがれがやらかしたことと全く同じことやってるだけなんだから。
なりはおっさんだけど教育は大したことなかったみたいだね。
中にはゴリラみたいにゴツいのやら、極道みたいに貫録のあるオヤジもいるけど、ウチのエージェントの敵じゃないね。ま、大抵はこんなちゃちなイジメするガキの親はチャラいチンピラみたいなのだね。ちょろいちょろい。
当然だけど、第一コースの時に送り付けた「証拠」を改めて提示。
この辺になると「いじめられっ子」に何らかのバックアップ…要はあたしたちみたいな組織ね…が付いてることはモロバレになっちゃう。
いじめられっ子は流石に「自分のせいで関係者が襲われた」という事実には相当精神的に参るらしいのね。
基本的に男の関係者には全員暴力で報復。
流石に母親とか姉とか妹をボコボコにするのは忍びないから、毒性の弱い真っ赤なペンキをぶっかけるくらいで勘弁してやってるわ。
え?本人ならともかく、関係者を襲うのはヒドい?
ま、とばっちり食らって気の毒だとは思うけどさ。犯人を精神的に追い込むためなんでね。
これで家庭崩壊したいじめっ子もいるみたいだけどいい気味だわ。
ここまでやると流石に「何かあったんじゃないか」と思われるわな。
最初は「被害者」として扱われるかもしれないけど、徐々に「猛烈にえげつないいじめの加害者で、報復されてるだけだった」ことが分かって来れば逆に肩身が狭くなるわね。
「ぎゃふん」じゃないけど、これで転校しちゃうこともあるわ。
本来なら「いじめられっ子が転校」するんじゃなくて「いじめっ子が排除」されて解決とすべきなんで理想の形かしら。
しかし、実の父親が五回も六回もボコボコにされて入院するまで頑としていじめの事実を認めなかったいじめっ子はある意味尊敬に値するわ。反政府ゲリラにでもなるのがオススメね。
…とまあ、以前はこういうやり方が主流だったの。
どうにかしていじめを停止させ、なおかついじめをしている奴らに己の犯罪行為を認めさせ、反省を強い、なおかついじめられっ子の安全と平穏も確保する。
犠牲も大きいけどさ。
しかしまあ、当然ながら色んな意味で被害甚大。周囲の人間関係もとてもじゃないけど元に戻ったとは言えないわね。
なので、今は新しい方法論が浮上してるの。
(続く)
*「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
いじめ復讐のための民兵組織。存在は厳重に秘匿されており、表立っては存在しないことになっている。
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【用語解説】
「アーバン・スイーパーズ」(都会の掃除屋)
非合法組織。
「皇法子」
現時点で不明。
「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
「アーバン・スイーパーズ」対いじめ部門。
「手紙部門」
「アーバン・スイーパーズ」の一部門。
「手紙作戦」
加害者に被害者(故人)を装った手紙を出し、精神的に追い込む。
生きている限り何十年でも続く。