アーバン・スイーパーズ 「ダストシューター」03
本人にも事情を話して「とにかくあなたの身の安全を確保するためにこうして隔離してる」ことを納得してもらうの。
事態がここまで悪化していると、「波風を立てず」に解決するのは全く持って不可能なんで覚悟を決めてもらうわ。
ただし、さっきも言ったみたいに基本的には「事態を解決する」ことは本人には説明しません。下手すると「相手に危害を加えるのは止めて欲しい」とか言い出しかねないんでね。
これは「復讐を恐れて」ってこともあるけど、基本的には「いい子」が多いからね。ホント、涙が出て来るわ。
周囲には「病気療養」ってことにするのが一般的ね。クラスメートなんかは日常的な過激な暴力に気が付いてたりするので特に不思議には思わないみたい。
さて、一番守りたい「被害者」の安全を「物理的に」きっちり確保した上で今度は「加害者」の処理ね。
まず、近い年代の兄弟姉妹、いとこなどを特定。ガードを貼り付けます。
うん。いじめられっ子本人が保護されて学校に来なかったり逃亡した逆恨みで妹を集団レイプした鬼畜もいるんでね。ま、こいつらがどうなったかはおいおい説明してあげるわ。
二次被害を防いだ上で第一コース。
両親などの保護者の元に居る場合は「いじめの証拠」を匿名で送りつけます。
別の新しいのを何回かに分けて小出しにするのがコツよ。
これで親に怒られていじめが止むんなら一番いいけどね。これで解決した例はあたしが見たところ一件も無し。
それどころか「親にチクりやがった!」ってんで益々いじめはエスカレートするわ。まんまと翌日学校に通ってたりしたら大変ね。
まあ、こちとら映画やドラマに出て来るFBIと違って優秀だからさ。セーフハウスの場所も分かんないでしょ。あたしですら全部で何か所あるのか知らないくらいだし。分かったところで解決まで関係者なんて絶対に通さないから。
当然携帯もスマホも全部封印してあるわ。
第二コース…だけど、これは今では廃止されてるコースね。
一応説明しとくと、スポーツのコーチみたいな「部外者」を学校に入れるのね。
そして首謀者たちをいじめ返す訳。
いじめってのは被害者の方が何故か責められたり「あいつにも落ち度があったんじゃないか」って思われがちなの。残念な話だけど、一度でもいじめられた子は「いじめられる前」には戻れないのよ。
だったらこいつらにも体験してもらおうってね。
こいつらって自分よりも弱い相手には強気だけど、自分が一方的に暴力で服従させられると途端に豆腐メンタルになることが多いのね。
かつてはこれで解決した例もあったらしいけど、季節外れなのに突然部外者が来るのがわざとらしいし、生徒でも教師でもない人間の犯罪行為だから目立つのよ。
え?知らなかった?『学校の中でなら、生徒及び教師は生徒を殺しても何の罪にもならない』んだよ?
ま、嫌味で言ってるんだけどさ。現状は実質それと同じだもん。今まで一体何人の生徒がクソ教師の心無いやり口で自殺したり、殴り殺されたりしてきたことか。でも罪に問われることなんて滅多にないからね。
話がそれたけど、この第二コースは封印。
第三コース。
情報を拡散します。
一応もう警告はしたってことで、警察だったりPTA会長だったり教育委員会に送りつけます。インターネットへの「無限」拡散はこの時点では様子見。
別に慈悲の心を発揮した訳じゃなくて「インターネットにバラまくぞ!」って脅しをするためね。
この時には目の前でいじめを放置したり、下手すると自分で煽ったりする担当教師の音声付き映像もあったりするんだけどね。全員が敵に回るかどうかのハンドリングは難しいわね。
この時点で自浄作用が働いて事態が収束するならそれはそれでいいわ。
ただ、加害者の親がモンスターペアレントだったりしたら開き直ってムチャクチャなことをやり始めたりするんでその時は次の段階に移行します。
悪いんだけど、この辺まで至ると本人の転校とかは不可避だね。
(続く)
*「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
いじめ復讐のための民兵組織。存在は厳重に秘匿されており、表立っては存在しないことになっている。
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【用語解説】
「アーバン・スイーパーズ」(都会の掃除屋)
非合法組織。
「皇法子」
現時点で不明。
「ダストシューター」(ゴミ捨て屋)
「アーバン・スイーパーズ」対いじめ部門。
「手紙部門」
「アーバン・スイーパーズ」の一部門。
「手紙作戦」
加害者に被害者(故人)を装った手紙を出し、精神的に追い込む。
生きている限り何十年でも続く。