過去の君たちへの手紙
この物語はフィクションであり、実際する国や団体とは関係ありません。
2015年7月16日
日本と言う国は世界地図から消えた。
今思えば、2010年のギリシャ危機の時点で気付くべきだった。
世界経済は信用と言う名の幻想のもと成り立っていたのだと。
いや、誰もが気付いてはいたのだろう。
終わりの日が回避できないことを
むしろ、2014年まで先延ばしできたことを奇跡と表現するべきなのか。
ともかく、その偽りの信用も欧州経済の崩壊とともに崩れ去った。
欧州が崩れ、米国、アジアとあっという間だった。
それもそうだろう。信用を失った紙幣はただの紙切れであり
不安はWebを通じて世界中を光りの早さで駆け廻ったのだから。
滑稽にも日本経済は最後まで生き残った。
日本人に危機感がかけていたからだろうか。
それとも、日本の金融システムが独自のものだったからだろうか。
鎖国といい、技術のガラパゴス化といい、日本は世界と別の道を行くのが得意だったからね。
しかし、日本経済だけが持ちこたえた意味はなかった。
いや、日本に混乱が少なかったという点では意味はあったのだが
そもそもそれが危機感の無さを強固なものにしてしまったのかもしれない。
彼らは自国の経済圏が崩壊すると直ぐに宣戦布告してきた。
彼らが日本を攻撃しないのは自衛隊があったからではない。
日本経済が彼らの経済成長にメリットをもたらしていたからだ。
自国の混乱を鎮めるために、国民の目を全て日本に向けた彼らの情報操作は見事としかいえない。
そして
日本は負けた。
愚かだった。
彼らでは無い。私たち日本人のことだ。
護ってくれると信じていた他国の軍は自分の国の経済とともに消失した。
張りぼての自衛隊は最後まで張りぼてだった。
しかし、そんなことは些細なことでしかない。
私たちは戦うことをしなかった。
平和ボケしていたのだ。
戦うと主張した老人たちを私たちは笑った。
人の命より重い物など無いと
そして、気付いたのだ。
自分たちが失ったものの大きさに。
誰が、日本には資源が無いと言ったのだろう
当たり前に存在していたから気付かなかったのだ。
川があり、山があり、海がある。
こんなに美味しい水が国中に流れている。
彼らの国にはもう存在しないものだった。
そして、私たちから奪われていくものだった。
彼らは奪うことしかしない。
我々、日本人のように自然と共存しようなどとは考えない。
この豊かな風景もやがて無くなるのだろう。
私たちが自分たちの命の変わりに失ったものは未来だ。
本当は戦ってでも守るべきだったのだ。
今、この手紙を呼んでいる君たちには実感が無いだろう。
信じてもらえるとは思っていない。
だから、今から戦う準備をしろなんて言わない。
ただ、今のうちに確認しておいて欲しい。
私たちが美しい国に住んでいる事を。
私たちが住んでいる国の風景を。
この物語はフィクションであり、実際する国や団体とは関係ありません。はい。大事なことなので・・・
お願い:後書きの最期まで読んでいただいた方、評価の方をお願いします。評価1ポイントでもよいので。どれだけの人が最後まで読んだか合計と平均から計算したいです。アクセス履歴だと、最後まで読んだのかわからないのが小説家になろうの残念なところですね。
以上、よろしくお願いいたします。