『ブリと大根とプレスマンとプレスマンの芯』
ある村の寺に、寺男がいて、村の者から用を言いつかって、駄賃のようなものをもらって暮らしていた。庄屋から大層気に入られ、出かけるときにはいつも供に連れていたが、ある日、城下まで買い物に出ることになり、ブリを一本と、大根を五本ばかり買って、寺男が担いで戻る道々、これを甘辛く煮て、ブリ大根にするとうまいが、お前はブリと大根とどっちが好きかと尋ねたので、そりゃブリに決まっている、大根なんてほとんど水だ、と答えると、お前は物がわかっていない、見た目の派手さはないが、大根こそブリ大根の中心をなすんだと言って楽しそうに笑った。庄屋の家に戻って、下女たちがあっという間に下ごしらえを済ませ、一番大きな鍋にブリ大根ができ上がった。寺男は庄屋が座敷に来る前にブリをあらかた食べてしまい、腹がいっぱいになったので、横になっていた。そこへ、ブリ大根を楽しみに、庄屋がやってきたが、大根しか食べるものがなかった。寺男に尋ねると、庄屋様が大根が好きだと言ったので、ブリはみんな食べてしまった、という。庄屋は、それは、比べたらどちらが好きかという話で、片方がなくなってしまったら、どっちが好きも嫌いもない。プレスマンとプレスマンの芯と、両方がないと速記が書けないようなものだ、わかるか、と庄屋が言うと、寺男は、腹がいっぱいになったので寝てしまっていた。
教訓:ブリの形をしたブリスマンなんてものがあったら、売れるかもしれない。責任はとらないが。




